世界の紙パック水リサイクルへの取り組み 〜オランダ編〜
世界の紙パック水リサイクルへの取り組み〜オランダ編〜

「リサイクル先進国」として知られるオランダでは、紙パック水のリサイクルが日常生活に溶け込んでいます。持続可能な社会を目指し、市民・企業・政府が一体となって取り組むその姿は、世界のモデルケースと言えるでしょう。
本記事では、オランダがどのように紙パック水のリサイクルシステムを構築し、高いリサイクル率を実現しているのか、その背景や具体的な取り組みを詳しくご紹介します。
リサイクル先進国オランダの背景
オランダは、世界でも有数のリサイクル先進国として知られています。その背景には、歴史的、文化的、そして政策的な要因が複雑に絡み合っています。
歴史的背景
1. 地理的制約と廃棄物管理の重要性
オランダは国土の大部分が海抜ゼロ以下で、埋立地に限界がありました。このため、限られた土地を効率的に使うため、廃棄物管理が早くから注目されました。こうした地理的特性がリサイクルの必要性を高めました。
2. 廃棄物階層(1970年代)
1979年、アディ・ランシンクが提案した「廃棄物階層(Lansinkの階段)」では、廃棄物削減を最優先とし、次に再利用、リサイクル、最後に焼却・埋立が推奨されました。この考えはオランダの政策に採用され、現在のEU廃棄物管理の基盤にもなっています。
3. 法整備とEU加盟(1980-90年代)
1980年代に「廃棄物管理法」が制定され、廃棄物処理の規則が強化されました。EU加盟後は、EUの規制を取り入れた拡大生産者責任(EPR)が導入され、特に包装材や紙パックのリサイクルが進展しました。
4. 循環経済への転換(2000年代以降)
オランダは2000年代以降、「循環経済」の概念を政策の柱に据え、2030年までに一次資源の使用を50%削減、2050年までに完全な循環型経済の達成を目指しています。この中でリサイクルの強化が重要な役割を果たしています。
文化的背景
オランダがリサイクル先進国として成功している背景には、独特の文化的要素が深く関わっています。
1. 持続可能性を重視する文化
オランダでは、歴史的に土地や資源が限られていたため、効率的で持続可能な利用が重要視されてきました。この考え方が、廃棄物のリサイクルや再利用を社会的な価値として浸透させています。
さらに、水管理に長い歴史を持ち、洪水から国土を守るための協調的努力が求められてきました。この経験が、環境問題への共同解決の姿勢につながっています。
限られた資源を大切にする考えは、リサイクルや無駄を減らす文化的基盤となっています。
2. 平等主義と協働の精神
オランダ社会では、個人がコミュニティや国家のために積極的に参加する平等主義的な文化があります。この価値観が、市民によるリサイクル活動や廃棄物管理への協力を促しています。
異なる立場の人々が合意形成を図る「ポルダー・モデル」という社会的アプローチは、廃棄物管理やリサイクル政策の実施をスムーズにしています。
4. 生活に密着したデザインと利便性
リサイクルが日常生活に取り入れられやすいよう、分別収集システムや専用容器などがデザインされています。市民の利便性が高いことも、リサイクル率向上に寄与しています。

政策的な背景
オランダがリサイクル先進国となった背景には、政策的な取り組みが大きく影響しています。地理的制約から廃棄物削減が早期から課題となり、1979年に「廃棄物階層(Lansinkの階段)」が導入され、リサイクルを優先する政策が進展しました。さらに、EU規制を基にした拡大生産者責任(EPR)が適用され、特に包装材や飲料用紙パックの回収が促進されています。また、2016年には「2050年までに完全な循環型経済の実現」を掲げ、イノベーション支援や市民参加型の分別収集が進められました。官民協力と透明性のあるデータ共有が、市民の積極的なリサイクル活動を支えています。
参照(DOWAエコジャーナル):https://www.dowa-ecoj.jp/kaigai/netherlands/20211204.html?utm_source=chatgpt.com
多層構造紙パックのリサイクル
多層構造紙パックは、紙繊維、ポリエチレン(プラスチック)、およびアルミニウムから構成され、これらを分離して再利用することが必要です。しかし、分離作業は技術的に難しく、コストもかかるため、多くの国で課題となっています
オランダでは、多層構造の紙パック(例えば飲料用紙パック)のリサイクルが重要な環境課題とされており、技術的・インフラ的に先進的な取り組みが進められています。
オランダの技術的アプローチ
オランダには、多層構造紙パックを効率的に分離・処理する専用施設があり、高度な技術を利用して各層を分離しています。特に、紙繊維を再生紙として利用し、プラスチックやアルミ層も可能な限りリサイクルに回す仕組みです。
アルミ層やポリエチレン層の分離には、熱分離技術や化学的処理技術が使用されることがあります。これにより、紙パックを構成する材料をそれぞれ別々に再利用可能にします。
収集と市民の役割
オランダでは、紙パックを他のリサイクル可能な廃棄物(例えばプラスチックや金属)と一緒に収集するシステムが採用され、後からリサイクル施設で分別されます。このプロセスにより、家庭での作業負担が軽減され、収集率が向上しています
市民参加を促進する収集システム
オランダは、市民の参加を促進する効率的な廃棄物収集システムを導入しており、これが紙パックリサイクルの成功に貢献しています。
リサイクル成功の鍵となるのは市民の協力であり、オランダでは教育キャンペーンを通じてリサイクル意識を高めています。また、一部の紙パックにリサイクルを促進するラベル表示がされており、適切な廃棄を促す仕組みが整っています
分別収集の仕組み
オランダでは、多くの自治体が「PMD(Plastic, Metal, Drink Cartons)」としてプラスチック、金属、飲料用紙パックを一括で収集する仕組みを採用しています。この方法は、家庭での分別作業を簡素化し、市民の参加を促進しています。
地域別のカスタマイズ
自治体ごとに収集システムが異なる場合もあり、住民に適したシステムが導入されています。一部の自治体では、紙パック専用の回収容器を設置している例もあります。
地域によっては、地下型のリサイクルコンテナが設置されており、24時間いつでもリサイクル可能です。この仕組みは都市部で特に有効で、スペースの有効活用と利便性向上につながっています
市民参加を高めるキャンペーン
学校や地域コミュニティでリサイクル教育が行われ、子どもから大人までリサイクル意識を高める取り組みが進められています。
さらに、一部の飲料容器にデポジット金(保証金)が導入されており、返却時に金額が返還される仕組みがあります。紙パック自体は対象外ですが、このような制度は市民のリサイクル意識を高める一因となっています。
日本とオランダの紙パックリサイクルの取り組みの違い
日本とオランダにおける紙パック水のリサイクルの取り組みには、政策や技術、消費者意識の面でいくつかの違いがあります。
政策面での違い
日本
日本では、1991年施行の「容器包装リサイクル法」を基に紙パックのリサイクルが推進されています。紙パックは自治体が提供する専用の回収ボックスやスーパーで収集され、再生紙やトイレットペーパーの原料としてリサイクルされます。紙パックを「飲料用」と「その他」に分別し、高品質な紙繊維を回収することが特徴です。 また、地方自治体がリサイクル活動を主導し、地域ごとのルールに基づいて啓発活動を展開しています。
しかし、自治体間で取り組みの差があることや、市民に求められる分別の手間が課題とされています。日本のリサイクル政策は品質重視であり、再利用可能な素材の徹底的な回収と高付加価値化に力を入れています。
オランダ
オランダでは、紙パックを「PMD(Plastic, Metal, Drink cartons)」として他の素材と一緒に収集し、専用施設で分離・リサイクルするシステムが採用されています。この方法は、分別の手間を軽減し、リサイクル率の向上に寄与しています。製造業者がリサイクル費用を負担する「拡大生産者責任(EPR)」制度があり、企業がリサイクルプロセス全体を支えています。
さらに、国は「2050年までに完全な循環型経済を実現する」という目標を掲げ、リサイクルだけでなく資源の再利用や廃棄物削減を包括的に推進。市民参加型の収集システムと最新の分離技術により、紙・プラスチック・アルミの効率的な再利用を実現しています。
収集方法の違い
日本
日本では、紙パックは他の素材と分けて収集する「分別収集」が基本です。自治体が提供するリサイクルステーションやスーパーの回収ボックスに、洗浄・乾燥・開いた状態の紙パックを持ち込む仕組みが一般的です。飲料用紙パックは高品質な紙繊維の回収を目的とし、特に牛乳パックの再利用が進んでいます。
一方で、スープやジュース用など内側にアルミ箔が使用されている多層構造の紙パックは、リサイクルが難しく、燃えるゴミとして処理される場合もあります。このように、収集方法が素材ごとに細かく分かれている点が特徴ですが、市民には分別の手間が求められ、自治体ごとにルールの違いが課題となっています。
オランダ
オランダでは、紙パックは「PMD(Plastic, Metal, Drink cartons)」としてプラスチックや金属と一緒に収集される仕組みが採用されています。この統一された分別方式により、収集時の手間が軽減され、市民のリサイクル参加が促進されています。家庭用ゴミの分別時には専用のPMDバッグが用意され、これを各家庭や集合住宅から定期的に回収。収集後、専用施設で紙、プラスチック、金属が分離され、それぞれリサイクルプロセスに回されます。この一体型の収集方法は効率的であり、回収率向上の要因となっています。
一方で、分離工程は高度な施設技術に依存しており、十分なリサイクル結果を得るには投資と管理が不可欠です。
技術とリサイクル率
日本
日本では、紙パックのリサイクル技術は進んでおり、特に再生紙の生産に重点を置いています。紙パックのリサイクルには、特殊なデインク技術(インク除去技術)が使用され、紙繊維がきれいに取り出され、トイレットペーパーや新聞、段ボールとして再利用されます。
しかし、紙パックに使用されているプラスチックやアルミ箔部分は分離が難しく、リサイクルの効率に影響を与えることがあります。リサイクル率は地域や自治体によって異なり、全国平均で約30〜40%程度と言われています。日本はリサイクル技術の向上に取り組んでいますが、紙パックの複合素材に対応するためにはさらなる技術革新が求められています。

コアレックス株式会社(Corelex)は、再生紙を主力製品とする日本の製紙会社ですが、現在ハバリーズと共同でハバリーズの飲み終えた紙パックを回収してトイレットペーパーにリサイクルしています。コアレックスとハバリーズは共に、環境配慮型製品を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
ハバリーズのリサイクルトイレットペーパーの個包装の梱包作業は、障がい者雇用の皆さんにサポート頂いています。
参照(コアレックス):https://corelex.jp/
オランダ
オランダの紙パックリサイクル技術は、プラスチックやアルミニウムを含む多層構造の紙パックを効率的に分離する高度な設備を導入しています。PMD(プラスチック、金属、飲料用紙パック)方式を採用し、専用のリサイクル施設でこれらの素材を分別・処理しています。紙部分は再生紙に、プラスチックやアルミニウムはそれぞれリサイクルされ、新たな製品に生まれ変わります。
オランダのリサイクル率は高く、飲料用紙パックの場合、約70%以上のリサイクルが実現されています。この高いリサイクル率は、効率的な分別システムと高度なリサイクル技術、そして国の政策に支えられており、循環型経済を推進する重要な要素となっています。
まとめ
オランダでは、紙パック水のリサイクルに積極的に取り組んでおり、効率的な分別収集システムが整備されています。飲料用紙パックは、プラスチックや金属と一緒にPMD(Plastic, Metal, Drink cartons)のカテゴリーで収集され、専用施設で分別・リサイクルされます。再生紙の原料やプラスチック、アルミニウムとして再利用される仕組みが確立されています。政府の拡大生産者責任(EPR)政策に基づき、製造業者が回収システムに資金を提供。市民への環境教育やリサイクルの利便性向上も推進されています。また、最新技術を活用した素材分離が進み、より高品質なリサイクルが可能となっています。このような官民一体の取り組みが高いリサイクル率を実現しています。

ハバリーズのリサイクルは、飲み終えた紙パック容器を回収し、ゼロエミッション工場でトイレットペーパーなどに完全リサイクルする独自のエコシステムを構築しています。この取り組みにより、紙資源の循環利用を促進し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への貢献を目指しています。
参照:ハバリーズリサイクル便

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ハバリーズリサイクルトイレットペーパー
ハバリーズ公式ウェブサイト
https://havarys.com/