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サステナブルツーリズムとは?定義や国内外の取り組みを紹介

サステナブルツーリズムとは?定義や国内外の取り組みを紹介

サステナブルツーリズムとは

サステナブルツーリズムとは、観光地の環境・社会・文化に配慮しながら旅行を楽しむことで、長期的な持続可能性を確保する観光のあり方のことです。国連世界観光機関(UNWTO)によれば、「訪問客、産業、環境、受け入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光」と定義しています。(引用:持続可能な観光の定義|UNWTO

サステイナブル・ツーリズム市場の2024年の市場規模は26億1,000万米ドルと推定され、2031年には87億3,000万米ドルに達し、2024年から2031年までのCAGRは18.8%で成長すると予測されています。(引用:サステイナブル・ツーリズム市場|株式会社グローバルインフォメーション
SDGsの目標達成と持続可能な社会の実現に向け、世界中の政府や関連機関、民間企業がサステナブルツーリズムに取り組んでいます。

今回はそんなサステナブルツーリズムについて定義から取り組みまでご紹介します。

なぜサステナブルツーリズムが注目されているのか

オーバーツーリズムによって破綻した観光

高度経済成長期のマスツーリズムの進展により観光がより大衆化し、国内外を旅行する人の割合が増えました。行き過ぎた開発などにより、観光客が過剰に訪れることでゴミ問題や騒音、混雑などが発生し、地域住民の生活に悪影響を及ぼしてきました。

さらに新型コロナウイルス感染拡大が収束した後、国内での移動だけでなく、世界中の観光客が国外の観光地に押し寄せるようになり、オーバーツーリズムが社会問題となりました。

サステナブルツーリズムは、このような問題を解決するためのアプローチとして注目されています。

世界も注目するサステナブルツーリズム

従来の観光への脱却のため、世界の観光産業では持続可能性の考え方を取り入れる動きが広がっています。

国連環境計画などが設立した国際NPOのグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(GSTC)は、ホテル運営会社やツアーガイド、自治体向けにサステナブルツーリズムの基準を定め、これに基づく認定も進められています。世界のホテルや観光地が取得を目指し、トルコは法律で国内すべての宿泊施設で2030年までに取得するよう義務付けました。

観光地や観光業者が持続可能な観光を実践するためのガイドラインを提供することで、世界中の観光地で持続可能な観光の推進が行われています。

(引用:サステナブルツーリズム|NIKKEI GX

サステナブルツーリズムで重要な4つのポイント

日本でも観光庁や自治体がサステナブルツーリズムの推進に力を入れています。

観光庁は、自治体や観光地域づくり法人(DMO)などが持続可能な観光地マネジメントを行えるよう、国際基準に準拠した「日本版持続可能な観光ガイドライン(Japan Sustainable Tourism Standard for Destinations,JSTS-D)」を策定しています。

ガイドラインは大きく分けて4つの分野があります。

(参照:日本版持続可能な観光ガイドライン|観光庁

持続可能な観光地マネジメント

持続可能な観光地マネジメントとは、観光地を運営する際に、観光客や地域、環境、経済、社会への影響を考慮して、持続可能な観光を実現するための取り組みです。

持続可能な観光地マネジメントを行うには、観光客の満足度や地域経済の状況、地域資源の状態などを表す客観的な指標を設定し、継続的に測定して評価することが必要です。

地域経済の活性化

地元経済の発展を支援し、観光収益が地域に還元される仕組みを構築します。

事業者や旅行者が住民と共に、地域社会や地域の文化・自然環境の保全に貢献できる機会があることが大切です。地域の自然や文化資源を活用した観光プログラムを開発し、観光客の消費を地域内で循環させます。これにより、観光客が地域の魅力を深く理解し、再訪を促すことができます。

文化と伝統の尊重

地域の文化や伝統を尊重し、それらを観光資源として活用することで、地域のアイデンティティを守ります。

文化の尊重では地域の文化遺産の保護も重要なポイントです。観光が文化遺産に与える影響を最小限に抑えるための取り組みが求められます。これには、歴史的建造物や伝統的な祭りなど、地域の文化的資源を保護し、維持するための具体的な対策を考える必要があります。

環境保護

自然環境の保護と再生を重視し、観光活動が環境に与える影響を最小限に抑える取り組みです。

水やエネルギーなどの資源を効率的に利用し、無駄を減らすための管理が重要です。これにより、観光地の持続可能性が高まり、環境への負荷が軽減されます。
さらに、廃棄物の削減も重要な項目です。観光地で発生する廃棄物を減らし、リサイクルや再利用を促進する取り組みが推進されています。これにより、観光地の清潔さが保たれ、環境への影響が軽減されます。

これらのポイントを通じて、観光地が持続可能な形で発展し続けることを目指していきます。

エコツーリズムとの違い

サステナブルツーリズムと似た言葉にエコツーリズムがあります。
ここでは多様化する観光のあり方を表す言葉をご紹介します。

エコツーリズム

エコツーリズムとは、「自然環境や歴史文化を体験しながら学ぶとともに、それらの保全にも責任を持つ観光のあり方」のことです。

エコツーリズムは自然の保全やその教育を重要視していますが、サステイナブルツーリズムはエコツーリズムよりも幅広く複雑な概念です。環境・社会・文化の3つの側面から観光業による負の影響を最小限にしつつ、持続可能な産業にすることが念頭に置かれています。

自然公園への訪問や電動自転車を使って観光するツアーなどがエコツーリズムにあたります。

(参照:エコツーリズムとは|環境省

グリーンツーリズム

グリーンツーリズムは、農村地域での滞在型の余暇活動を指し、地域の自然や文化、人々との交流を楽しむことを目的とした取り組みです。農林水産省はその定義を「緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」と定義しています。(引用:グリーン・ツーリズムの定義と推進の基本方向|農林水産省

他の観光との違いは、農山漁村地域での宿泊に着目した点です。
蕎麦打ちや田植えなどの地域ならではの体験をしたり、農家の暮らしを体験しながら宿泊することができます。

アドベンチャーツーリズム

アドベンチャーツーリズムは、「アクティビティ体験、自然体験、文化体験の3つの要素のうち、2つ以上の要素で構成される旅行」のことです。(引用:アドベンチャーツーリズムとは|JATO

「学び」よりも「楽しみ」を重視したレジャー性の高さが特徴です。
ダイビングやトレッキングといったハードなものをはじめとし、ウォーキングや言語学習といったソフトな体験も増えてきています。

サスティナブルツーリズムの事例

日本や海外では、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。
サステナブルツーリズムに積極的に取り組んでいる観光事業を4つご紹介します。

日本でのサステナブルツーリズムの取り組み

【沖縄県】プロジェクトマナティ

プロジェクトマナティはお金を払ってゴミ拾いをするクリーンアクティビティです。代表の金城さんが海でゴミ拾いをした際にゴミを捨てるのに困ったことから生まれたプロジェクトです。ゴミ捨てをするには、地域の人たちに助けてもらわなければなりません。ゴミ拾いを成立させるために観光をかけ合わせました。

地域のパートナー(カフェや共同売店、民宿など)の元で500円を払ってゴミ拾いセットをレンタルし、自由にクリーンアップ、パートナーが適切にゴミの処理をしてくれる仕組みです。マナティを組み込んだネイチャーツアーやマリンアクティビティツアー、環境教育講話もあります。

(参照:やさしさを100%出したくなる!?沖縄から誕生したクリーンアクティビティとは?|BIOPLE
(引用:プロジェクトマナティ|おきなわMICEナビ

【東京都】TRUNK HOTEL

渋谷にあるTRUNK(STAY)は “ソーシャライジング” と “ローカリゼーション” を体感できる新しい宿泊スタイルです。ソーシャライジングとは、自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること。

ベッドやインテリアには間伐材や古材を使用し、シャンプーやボディウォッシュなど直接肌につけるものは、肌と環境に優しい国産素材であることにこだわったエコサート認証の100%オーガニックを使用。お気に入りのジャケットをかけるハンガーやトイレのサニタリーボックスには、鉄工場で使われなくなった鉄をリサイクルし、新たに生まれ変わった素材を使用しています。
また、一般的に捨てられてしまうスリッパも、持ち帰って日常でも使いたくなるデザインにし、素材もサンダルをつくる際に出るゴムの端切部分でリデュースしています。

ミニバーには、渋谷を象徴する商品を目指して作られた「SHIBUYAビール」や、渋谷のスクランブル交差点をラベルモチーフにした「シブヤコーラ」、渋谷産のインスタントコーヒーをセレクトしており、渋谷のカルチャーを感じられます。

ソーシャライジングを通して、自らのライフスタイルの中で無理なくできる社会貢献を体験することができます。

(参照:CONCEPT|TRUNK HOTEL
(参照:TRUNK HOTEL @渋谷|サスタビ

海外でのサステナブルツーリズムの取り組み

【フィンランド】サプミネイチャーキャンプ

サプミネイチャーキャンプは、北極圏のイェリヴァレとヨックモックの町の間に位置するラポニア世界遺産地域の自然に近い宿泊施設で、サーミグランピングを提供する小規模キャンプです。2019年にグランドトラベル賞のベストスウェーデン・エコツーリズム賞を受賞。地球を大切にする人にとって持続可能な滞在場所としてナショナル ジオグラフィックに取り上げられたこともあるそう。

サプミはトナカイの国。滞在中はトナカイ遊牧民の家庭で育ったサーミ人から、先住民族のサーミ文化について学びながら体験することできます。
トナカイや遊牧民を脅かすことのない環境を守るため、現在のサーミ人の生活に関する知識を共有することで、持続可能な観光に努めています。

他にも、サーミ料理を堪能したり、オーロラを体験したり、伝統的なスキーやスノーシューでのトレッキングなどのアクティビティを楽しむこともできます。

(参照:SapmiNature

【ベルギー・オランダ】ザ・グッドナイト・トレイン(The Good Night Train)

2022年、ドイツでは公共交通機関が格安料金で乗り放題になり、フランスでは短距離フライトが禁止されました。ヨーロッパ各国では、より環境への負荷が少ない移動手段が求められます。そこで改めて見直されているのが列車による旅のスタイルです。

気候危機に対する意識の高まりを受けて、鉄道会社やEU各国政府は、かつて世界各地を結んでいた夜行中距離鉄道網を再運営するよう動きはじめています。長距離および、国境を越えた旅客鉄道の促進のため、欧州委員会は高速鉄道の輸送量を2030年までに2倍にし、2050年までに3倍にする目標を掲げています。(引用:欧州グリーン・ディールとEUの鉄道政策|JETRO

ザ・グッドナイト・トレイン(The Good Night Train)は、ベルギー、オランダ、ドイツの3か国の首都(ブリュッセル、アムステルダム、ベルリン)を結ぶ地域密着型の夜行列車です。週3便から運行を始め、将来的には毎日の運行を目指しています。

(参照:ヨーロッパ3か国を結ぶ夜行列車が5月開通 「列車の旅」が再び人気に|ELEMINIST

まとめ

サステイナブルツーリズムは、今後数年でさらに大きく成長する可能性を秘めた成長市場です。しかし日本では、サステナブルツーリズムの取り組みが一部の地域では進んでいるものの、サステナブルな取り組みに対する意識が低いのが現状です。サステナブルな選択が誰でもできるように業界全体で努力が求められています。

サステナブルツーリズムという新しい選択肢を持つことで、広がる未来があると私たちは思います。
身近な社会貢献の一歩として、旅行する際はサステナブルツーリズムを検討されてみてはいかがでしょうか。

(参照:「サステナブル・トラベル」に関する調査|ブッキング・ドットコム

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