改正 資源有効利用促進法とは?対象と企業対策も
改正 資源有効利用促進法とは?対象と企業対策も

2025年2月25日に閣議決定され、同年5月28日に参議院本会議で可決・成立(6月4日公布、令和7年法律第52号)した改正資源有効利用促進法(正式名称:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律)は、2026年4月1日に施行されます。従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の枠組みを大幅に拡張し、再生材の利用義務化や環境配慮設計の認定制度など、企業活動に直結する4つの新制度が導入されます。本記事では、改正法の背景から具体的な対策まで、環境・サステナビリティ担当者が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。
2026年4月施行!資源有効利用促進法 改正の背景とスケジュール
2026年4月1日の施行まで残りわずかとなった改正資源有効利用促進法は、GX推進法の改正と一体で進められた「経済政策としての資源循環強化」です。対象となり得る企業は、今すぐ情報収集と体制整備に着手する必要があります。
なぜ今「3R」から「サーキュラーエコノミー」への転換なのか
資源有効利用促進法は2001年に施行され、10業種・69品目を対象に3Rの取組みを事業者に求めてきました。しかし、2023年度の一般廃棄物のリサイクル率は19.5%(環境省「日本の廃棄物処理 令和5年度版」)にとどまり、過去10年間ほぼ横ばいで推移しています。こうした状況から、従来の3Rの枠組みだけでは資源循環を十分に加速できないとの指摘が強まっていました。
一方、EUでは2015年の「新循環経済政策パッケージ」以降、再生プラスチックの使用義務化など、サーキュラーエコノミー(循環経済)を前提とした産業政策が加速しています。日本も2050年カーボンニュートラルの達成に向け、資源循環を「環境対策」から「経済成長戦略」へと格上げする必要に迫られました。今回の改正はGX推進法と一体で設計され、脱炭素と資源循環を同時に推進する点が最大の特徴です。
2025年成立〜2026年施行までのロードマップと重要期限
改正法案は2025年2月25日に閣議決定され、衆議院審議を経て同年5月28日に参議院本会議で可決・成立、6月4日に公布されました(令和7年法律第52号)。施行日は一部の例外を除き2026年4月1日です。ただし、対象製品や具体的な基準値は政省令で順次決定されるため、施行日=準備開始日ではありません。
主なスケジュールは以下の通りです。
・2025年秋:改正施行令(政令)の公布(指定再資源化製品への3品目追加、対象製品・対象資源の指定など)
・2026年2月頃:改正施行規則(省令)の公布(判断基準・計画様式・報告様式等の詳細)
・2026年4月1日:改正資源有効利用促進法の施行
・2027年6月末日:再生材利用計画の初回提出期限
・2028年度以降(毎年6月末日):前年度実績の定期報告提出
施行後すぐに計画策定が求められるため、2025年中に経済産業省の「産業構造審議会 資源循環経済小委員会」の議論を注視し、自社への影響を早期に見極めることが重要です。
(参照:事務局資料 令和7年6月 経済産業省GXグループ|経済産業省)
【チェックリスト】自社は対象?改正法の影響を受ける業種・製品一覧
改正法の影響範囲は広く、従来の10業種・69品目に加え、新たな製品カテゴリが追加されます。特に再生材利用の義務化対象となる「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」には、以下の製品群が候補として挙がっています。
・プラスチック使用製品(容器包装、家電筐体など)
・自動車(樹脂部品・金属部品)
・家電製品・パソコン
・リチウムイオンバッテリー内蔵製品(モバイルバッテリー、携帯電話、加熱式たばこ)
また、新たに「指定再資源化製品」として、電源装置(モバイルバッテリー)、携帯電話用装置、加熱式たばこデバイスの3品目が追加されました。パブリックコメントを経て2025年秋に改正施行令が公布され、2026年4月の施行から回収・再資源化義務の運用が開始されます。勧告・命令の対象となる規模要件は、モバイルバッテリー年間1,000台以上、携帯電話年間1万台以上、加熱式たばこ年間30万台以上です。自社が製造・輸入・販売する製品がこれらのカテゴリに含まれるか、確認しておきましょう。
(参照:改正資源有効利用促進法 GX推進と連動した資源循環強化へ|プラジャーナル)(参照:経済産業省 モバイル充電器・スマホ・電子タバコのリサイクル義務化|プラジャーナル)
実務への影響大!改正法で押さえるべき「4つの柱」
今回の改正は、①再生資源の利用義務化、②環境配慮設計の促進、③GXに必要な原材料等の再資源化促進、④CEコマースの促進の4本柱で構成されています。なお、判断基準の遵守が不十分な場合でも、ただちに罰則が科されるわけではありません。行政措置は「指導・助言→勧告→企業名の公表→命令」と段階的にエスカレートし、命令に違反した場合に初めて50万円以下の罰金が科されます。一方、再生材利用計画の未提出や定期報告の懈怠・虚偽報告については、段階的措置とは別に20万円以下の罰金が直接科される点に注意が必要です。
再生資源の利用義務化:特定製品への「再生材」使用と報告義務
改正法の最大の目玉が、「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」(以下、再生材利用義務化製品)の制度です。政令で指定された製品の製造事業者等のうち、生産量が一定規模以上の企業は、再生材(脱炭素化再生資源)の利用に関する計画を策定し、主務大臣へ提出する義務を負います。さらに、毎年度の実績について定期報告が求められます。計画策定にあたってはGX推進機構からの助言を受けることが可能です。
対象となる再生資源としては再生プラスチックが最有力で、自動車や家電、容器包装などの製品が候補です。前述の通り、計画未提出や虚偽報告には20万円以下の罰金が科されるため、報告体制の構築は必須です。
環境配慮設計(エコデザイン)認定制度:企業のメリットと申請のコツ
2つ目の柱が、「資源有効利用・脱炭素化促進設計指針」に基づく環境配慮設計の認定制度です。解体・分別のしやすさや長寿命化につながる設計など、資源有効利用と脱炭素化の両面で特に優れた製品設計について、主務大臣の認定を受けることができます。認定対象は、従来の指定省資源化製品や指定再利用促進製品に加え、今回新設される再生材利用義務化製品も含まれます。
認定を取得すると、製品への認定表示が可能になるほか、リサイクル関連の設備投資に対する金融支援の特例も受けられます。任意制度のため罰則はありませんが、取引先や消費者への訴求力強化、ESG評価の向上といったメリットがあり、早期に申請準備を進めることが競争優位につながります。
太陽光パネルの適正リサイクル:情報提供義務化の最新ステータス
太陽光パネルについては、2030年代後半から廃棄量の急増が見込まれ、2040年頃には年間約40万トン規模に達する可能性が指摘されています。リサイクル体制の整備が急務とされています。当初、2025年の通常国会で、拡大生産者責任の考え方に基づき製造業者・輸入業者にリサイクル費用負担を義務付ける専用法案の提出が検討されていました。しかし、内閣法制局が「家電や自動車など他のリサイクル関連法では所有者負担としており整合性がとれない」と指摘し、2025年5月13日の記者会見で浅尾慶一郎環境大臣が法案の今国会への提出見送りを発表しました。
さらに同年8月29日の記者会見では、同大臣が「太陽光パネルの埋立処分とリサイクル費用の差額が現状では大きい中で、太陽光パネルのみ製造業者等に差額を負担させてリサイクルを義務化することについて、現時点では合理的な説明が困難」との整理に至ったとして、制度案の見直しを視野に入れて検討作業を進めると表明しました。一部報道では、リサイクルを所有者の「努力義務」とし、大規模発電事業者に報告義務を課す方向で修正案が検討されていると伝えられていますが、大臣会見では具体的な代替案には言及されておらず、政府の正式な方針決定には至っていません(2026年の通常国会への法案再提出を目指して調整中とも報じられています)。なお、環境省は2024年8月にガイドライン第三版を公表し、メーカーへの含有物質情報の提供要求リストを追加しています。
(参照:太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)について|環境省)
廃棄物処理法との連携:広域回収の特例によるコスト削減の可能性
4つ目の柱に関連するのが、廃棄物処理法の特例措置です。改正法では、高い回収目標等を掲げた自主回収・再資源化事業計画について主務大臣の認定を受けた事業者は、廃棄物処理法上の業許可(収集・運搬・処分)が不要となる特例が設けられます。従来、使用済み製品を広域的に回収するには各自治体の許可が必要で、特にリチウムイオンバッテリー内蔵製品のように全国的な回収網の構築が求められる製品では、許可取得のコストと時間が大きな障壁でした。
この特例により、メーカー主導の効率的な回収スキームが構築しやすくなり、物流コストの削減と回収率向上の両立が期待されます。適正処理の遵守が前提となるため、委託先の選定や管理体制の整備も併せて進めましょう。
【対策編】施行までに企業が準備すべき3つのアクション
2026年4月の施行後、対象企業には速やかに再生材利用計画の策定が求められます。施行日から逆算すると、準備に使える時間は限られています。ここでは、優先度の高い3つのアクションを整理します。
①サプライチェーンの透明化とトレーサビリティの確保
再生材の利用義務を果たすためには、まず自社のサプライチェーン上でどの原材料がバージン材で、どの原材料が再生材なのかを正確に把握する必要があります。特に再生プラスチックは、品質やグレードが供給元によって大きく異なるため、調達先ごとの含有率・品質データを一元管理する仕組みが不可欠です。EUでは「デジタル製品パスポート(DPP)」の導入が進んでおり、日本企業もグローバル取引先から同等の情報開示を求められるケースが増えています。施行前の段階で、主要サプライヤーとの間で再生材の供給量・品質に関する契約条件を見直し、将来的な調達リスクに備えることが重要です。
②再生材利用率の「算定・報告体制」の構築(デジタル対応)
改正法では、再生材利用義務化製品の製造事業者等に対し、再生材利用計画の提出(初回は2027年6月末日まで)と、翌年度以降の定期報告が義務付けられます。報告にあたっては、プラスチック消費量に対する再生プラスチック利用量の比率など、定量的なデータの算出が求められます。手作業での集計では精度とスピードに限界があるため、ERPや環境データ管理システムとの連携によるデジタル化を早期に検討しましょう。今後、省令で報告様式が定められる予定ですので、経済産業省の資源循環経済小委員会やワーキンググループの公表資料を定期的に確認し、システム要件を事前に固めておくことが実務上のポイントです。
③製品開発・設計部門との連携:リサイクル優先設計へのシフト
再生材の利用率を高めるには、調達部門の努力だけでは不十分です。製品の設計段階から、再生材を受け入れやすい素材選定や、使用後の解体・分別を前提とした構造設計を行う「Design for Recycling(リサイクル優先設計)」への転換が求められます。改正法で新設される環境配慮設計の認定制度を活用すれば、認定表示による市場での差別化や、設備投資への金融支援といったインセンティブも得られます。
設計部門・調達部門・サステナビリティ部門が横断的に連携する体制を構築し、製品企画の初期段階からリサイクル性を評価するプロセスを組み込みましょう。こうした取組みはEU規制への対応にも直結するため、グローバル展開する企業にとっては一石二鳥の施策となります。
まとめ:法改正を「成長のチャンス」に変えるGX戦略
改正資源有効利用促進法は、再生材利用の義務化や環境配慮設計の認定制度など、企業に新たな対応を求める一方で、コスト競争力の強化やESG評価の向上、新市場の開拓といった成長機会をもたらします。法規制を単なるコスト増と捉えるのではなく、サプライチェーンの再構築や製品設計の高度化を通じてGX戦略の中核に位置づけることが、これからの企業競争力の鍵となるでしょう。

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