森林破壊とは?原因・最新データと今すぐできる対策
森林破壊とは?原因・最新データと今すぐできる対策

地球の肺とも呼ばれる森林が、かつてない速度で失われています。2024年、熱帯地域の原生林だけで670万ヘクタールが消失し、これは毎分サッカー場18個分に相当する面積です。この記録的な森林喪失は、気候変動の加速、生物多様性の危機、そして16億人もの人々の生活基盤を脅かしています。しかし、私たち一人ひとりの行動が、この危機を食い止める鍵となります。本記事では、森林破壊の最新状況から具体的な解決策まで、科学的データに基づいて解説します。
現状:森林破壊の定義と最新データ(2023–2025)
森林破壊とは、自然の回復力を超えて森林が恒久的に減少または消失する状態を指します。2024年は森林破壊の観測史上最悪の年となり、特に火災による損失が深刻化しました。
「森林破壊」と「林冠損失」の違い:測定指標の簡潔解説
森林破壊(デフォレステーション)は、森林が農地や工業用地など非森林用途に恒久的に転用されることを意味します。一方、林冠損失(ツリーカバーロス)は、伐採や火災による一時的な樹木の喪失も含み、必ずしも永久的な森林消失を意味しません。
Global Forest Watchの最新研究によれば、2001年から2024年の間に記録された林冠損失のうち、約34%が恒久的な土地利用変化による森林破壊であると推定されています。この区別は、適切な森林保全策を講じる上で極めて重要です。
(参照:New Data Shows What’s Driving Forest Loss Around the World|World Resources Institute)
最新トレンドの要点(主要数値・地域別)
2024年、世界全体の樹木被覆損失は3,000万ヘクタールに達し、前年比5%増加して過去最高を記録しました。特に深刻なのは熱帯原生林の損失で、パナマの国土面積に匹敵する670万ヘクタールが消失し、2023年のほぼ2倍に相当します。
注目すべきは、初めて火災が農業を抜いて熱帯原生林喪失の最大要因となり、全体の約50%を占めた点です。地域別では、ブラジルのアマゾン、インドネシア、コンゴ民主共和国が特に大きな損失を記録しています。また、カナダやロシアなどの北方林でも記録的な火災が発生し、熱帯と寒帯の両方で同時に大規模火災が発生したのはGlobal Forest Watchの記録開始以来初めてのことです。
(参照:Fires Drove Record-breaking Tropical Forest Loss in 2024|Global Forest Review, World Resources Institute)
(参照:RELEASE: Global Forest Loss Shatters Records in 2024|World Resources Institute)
原因:産業別ドライバーと気候要因
森林破壊の背後には、複雑に絡み合う経済的要因と気候変動があります。産業活動による土地利用の変化が主要因ですが、2024年は異常気象による火災が記録的な被害をもたらしました。
農地転用(パーム油・大豆・畜産)/違法伐採/鉱業・インフラ
2001年から2024年の間に、恒久的な土地利用変化(永久農業、鉱業・エネルギーインフラ、都市開発など)により1億7,700万ヘクタールの樹木被覆が失われ、これはモンゴルの国土面積を超える規模です。このうち約95%(1億6,800万ヘクタール)が永久的農業への転用によるものです。
特に、牛肉、大豆(約8割が家畜飼料用)、パーム油、木製品の4つの商品が熱帯林破壊の大部分を引き起こしています。ボルネオ島のケースでは、伐採、パーム油・パルプ材プランテーション開発、火災などにより、1973年から2015年の間に約1,870万ヘクタールの原生林が消失しました。1973年時点で島の76%を占めていた原生林は、2015年には約28%にまで減少し、島全体の森林被覆率は50%となりました。特にパーム油プランテーションは主要な要因の一つです。
ラオスでは中国への農産物輸出増加と経済的困窮が相まって、農地拡大が加速しています。また、ブラジルアマゾンでは、森林破壊の約95%は道路から5.5キロメートル以内、または河川から1キロメートル以内で発生しており、農業や畜産業、林業と密接に関連しています。鉱業やエネルギーインフラ建設も「ハードコモディティ」として重要な破壊要因となっています。
(参照:Barber, C.P., Cochrane, M.A., Souza Jr., C.M., & Laurance, W.F. (2014). Roads, deforestation, and the mitigating effect of protected areas in the Amazon. Biological Conservation, 177, 203-209. ※本研究はブラジルアマゾンを対象としたもの)
(参照:Gaveau, D.L.A. et al. (2019). Rise and fall of forest loss and industrial plantations in Borneo (2000–2017). Conservation Letters, 12(3), e12622.)
火災・気候関連(人為的火入れと自然火災の区別)
2024年は火災が森林破壊の最大要因となった転換点でした。世界全体で火災により4.1ギガトンの温室効果ガスが排出され、これは2023年の全世界の航空業界による排出量の4倍以上に相当します。
重要な点は、熱帯林での火災のほとんどが人為的に引き起こされているということです。農地を準備するための火入れや、放棄された農地からの延焼が主な原因となっています。
オーストラリアのケースでは、2019年から2020年にかけて異常高温と長期干ばつにより大規模火災が発生し、28人以上が死亡、数千棟の住宅が焼失しました。アマゾンのケースでは、ブラジル国立宇宙研究所のデータによると森林伐採自体は減少傾向にあるものの、森林火災が増加しており、問題は未解決のままです。気候変動による乾燥化が火災リスクを高め、人為的活動と自然要因が相互作用して被害を拡大させています。
(参照:WMO confirms 2024 as warmest year on record|World Meteorological Organization)
(参照:Global trends in wildfire and its impacts|World Resources Institute)
影響:気候・生物多様性・地域社会への具体的インパクト
森林破壊は単なる樹木の減少にとどまらず、地球規模の気候システム、生態系、そして人々の生活に深刻な連鎖的影響を及ぼしています。
炭素収支と気候目標への含意(数値例を提示)
森林破壊は世界の年間温室効果ガス排出量の約10~12%に貢献しており(過去の推定では17%とされていた)、気候変動対策において看過できない要因です。
具体的な数値で見ると、36~40年生のスギ人工林1ヘクタールには約304トンのCO2が蓄積されており、これは一般家庭約80世帯分の年間排出量に相当します。また、この森林が毎年吸収するCO2量(約8.8トン)は、約2世帯分の年間排出量に相当します。森林が失われると、この蓄積された炭素が放出されるリスクがあるだけでなく、将来の吸収能力も永久に失われることになります。
2024年、熱帯原生林の損失だけで3.1ギガトンの温室効果ガスが排出され、これはインドの化石燃料使用による年間排出量を上回ります。さらに、世界全体の森林火災(熱帯と北方林を含む)では4.1ギガトンが排出され、これは2023年の全世界の航空業界による排出量の4倍以上に相当します。
国際的な目標では2030年までに森林破壊をゼロにする必要があり、現在の破壊率から毎年約20%の削減が求められています。しかし、2024年は熱帯原生林の損失が前年のほぼ2倍に達し、特に火災による損失が大幅に増加したため、目標との乖離が拡大しています。
(参照:IPCC (2019). Climate Change and Land: an IPCC special report on climate change, desertification, land degradation, sustainable land management, food security, and greenhouse gas fluxes in terrestrial ecosystems.)
(参照:Land – the planet’s carbon sink|United Nations Environment Programme)
(参照:林野庁「森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?」 )
生態系サービスの損失と生活・健康への影響(先住民の視点を含む)
世界人口の25%以上に相当する約16億人の人々が生活の糧を森林に頼っています。森林の保水力が失われることで、土壌栄養分の流出、洪水、土砂崩れが引き起こされ、水源涵養機能が低下します。
生物多様性の観点では、森林は陸上生態系の基盤であり、その喪失は生態系全体の安定性を脅かします。実際、森林破壊はマラリアやデング熱といった昆虫媒介性の伝染病の罹患率を上昇させることが研究で示されています。これは病原菌の媒介昆虫が、森林の動植物が減少した結果、人間をそのライフサイクルに組み込む形で適応するためです。
先住民コミュニティにとって、森林は単なる資源ではなく、文化的・精神的アイデンティティの基盤です。彼らの伝統的な土地管理の知識は持続可能な森林保全に不可欠ですが、森林破壊により居住地を奪われ、伝統的生活様式の維持が困難になっています。社会的には、基本的かつ公共性の高い社会資本の喪失という側面もあり、途上国における森林破壊は国際的な経済格差拡大の原因の一つとなっています。
(参照:People and Forests|FAO)
(参照:FAO (2020). The State of the World’s Forests 2020: Forests, biodiversity and people.)
(参照:CIFOR Facts & Figures: Forests and Livelihoods)
解決に向けた実践的アクション(政策・企業・個人)
森林破壊を食い止めるには、国際的な枠組み、企業の責任ある調達、そして個人の意識的な選択が連携して機能する必要があります。それぞれのレベルで具体的な行動が求められています。
国際枠組みと政策ツール(REDD+等)
REDD+(途上国における森林減少・劣化からの排出削減)は、森林保全に経済的インセンティブを与える国際的な仕組みです。森林を保護した国や地域に対して資金を提供することで、森林を伐採するよりも保全する方が経済的に有利になるよう設計されています。
2025年11月、ブラジル・ベレンで開催されたCOP30において、トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ(TFFF)が正式にローンチされました。TFFFは1,250億ドルを目標とする自己資金型の投資ファンドで、熱帯林を保全する70以上の途上国に対し、衛星データで確認された森林保全実績に基づいて資金を分配します。ブラジル(10億ドル)、インドネシア(10億ドル)、ノルウェー(30億ドル/10年間)などが出資を表明しています。
EU森林破壊防止規則(EUDR)は、企業に対して製品が森林破壊された土地で生産されていないことを証明するデューデリジェンスを義務付ける規則です。当初2024年12月に施行予定でしたが、2024年に1年間延期され2025年12月30日からの適用となりました。その後2025年11月、欧州議会と欧州理事会は追加で1年間の延期を承認し、大企業・中企業は2026年12月30日から、小企業・零細企業は2027年6月30日から適用されることになりました。なお、2026年4月末までに規則の簡素化見直しが予定されており、さらなる変更の可能性も残されています。
COP30が2025年にブラジルのアマゾンで開催されることも、森林保全への国際的な注目を高める重要な機会となっています。
(参照:Tropical Forest Forever Facility|TFFF公式サイト)
(参照:Financing Nature Conservation: Will the Tropical Forest Forever Facility Finally Do It?|World Resources Institute)
(参照:Regulation on Deforestation-free products|European Commission)
(参照:REDD+ Web Platform|UNFCCC)
(参照:Over USD 5.5 billion Announced for Tropical Forest Forever Facility as 53 Countries Endorse the Historic TFFF Launch Declaration|COP30公式)
(参照:Deforestation: Council ready to start talks with Parliament on a targeted revision of the regulation|EUDR)
企業の具体的手順(デューデリ、透明化、認証導入)
企業がゼロ・デフォレステーションを達成するための第一歩は、サプライチェーンの完全な可視化です。具体的には、原材料の調達先を特定し、地理情報システム(GIS)を用いて生産地の森林破壊リスクをマッピングします。次に、ノンデフォレステーション調達方針を策定し、高リスク地域からの調達を段階的に削減します。
デューデリジェンスでは、製品の数量、生産地、生産時期、森林破壊のない生産方法の証拠などの詳細情報を収集・文書化します。第三者認証の導入も重要で、FSC(森林管理協議会)認証、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証などを取得した製品を優先的に調達します。
Global Forest Watch Proなどのツールを活用すれば、リアルタイムで森林破壊アラートを受け取り、サプライチェーン上の問題を迅速に特定できます。透明性の確保として、年次報告書でサプライチェーンの森林破壊リスクと対策を開示し、ステークホルダーとの対話を継続することが求められています。
(参照:Forest Stewardship Council (FSC)公式サイト)
(参照:Roundtable on Sustainable Palm Oil (RSPO)公式サイト)
(参照:Global Forest Watch Pro|World Resources Institute)
(参照:Accountability Framework initiative)
個人が今すぐできるチェックリスト(購買ガイド・寄付・参加)
個人レベルでできる具体的なアクションは多岐にわたります。
購買行動では、FSC認証マークやRSPO認証マークがついた製品を選び、非持続的なパーム油を含む製品を避けることが重要です。食品ラベルを確認し、大豆由来の飼料で育てられた肉製品や、森林破壊に関与していないコーヒー・カカオ製品を選択します。日本では木材自給率が約42~43%と低く、約60%を輸入に依存しているため、国産木材の利用促進も森林保全につながります。
寄付・支援では、WWFジャパン、グリーンピース・ジャパン、熱帯森林保護団体(RFJ)など、森林保全活動を行うNGOへの寄付が効果的です。
参加・発信では、企業のサプライチェーン透明性を求めるオンライン署名活動に参加したり、SNSで森林保護の重要性を発信したりすることで、社会的な意識を高めることができます。また、自治体や企業が実施する植林活動やボランティアプログラムに参加することも、直接的な貢献となります。これらの小さな行動の積み重ねが、大きな変化を生み出す可能性を秘めています。
(参照:令和6年(2024年)木材需給表|林野庁, 2025年11月21日公表 )
(参照:林野庁「令和6年度 森林・林業白書」)
(参照:WWFジャパン 森林保全活動)
(参照:熱帯森林保護団体(RFJ))
まとめ
森林破壊は2024年に記録的な水準に達し、気候変動と生物多様性に深刻な影響を与えています。しかし、国際的な政策枠組み、企業の責任ある調達、個人の意識的な選択により、この危機を転換することは可能です。
2030年までのゼロ・デフォレステーション達成には、今すぐの行動が不可欠です。認証製品の選択、NGOへの支援、企業への働きかけなど、私たち一人ひとりができることから始めましょう。

日常の選択から森林保全へ
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