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マイクロプラスチック対策(日本)|家庭・企業・自治体向けガイド

マイクロプラスチック対策(日本)|家庭・企業・自治体向けガイド

マイクロプラスチック対策(日本)|家庭・企業・自治体向けガイド

海を漂う5mm以下の微細なプラスチック「マイクロプラスチック」は、日本周辺海域で北太平洋と比べ16倍・世界の海と比べると27倍も検出される深刻な環境問題です。洗濯やタイヤの摩耗など日常生活から発生し、食物連鎖を通じて私たちの体内にも蓄積する可能性が指摘されています。本記事では、家庭・企業・自治体それぞれが実践できる具体的な対策と最新技術を解説します。(参照:Isobe, A. et al. (2015). East Asian seas: A hot spot of pelagic microplastics. Marine Pollution Bulletin.

マイクロプラスチックとは — 日本の現状と、あなたに関係する理由

マイクロプラスチックは私たちの生活から発生し、海洋環境だけでなく人体への影響も懸念される問題です。日本周辺海域は世界有数の汚染地域となっています。

定義と分類:マイクロファイバー/フラグメント/二次発生

マイクロプラスチックとは5mm以下の微細なプラスチック粒子で、「一次的」と「二次的」に分類されます。一次的マイクロプラスチックは化粧品のマイクロビーズや衣類から出るマイクロファイバーなど、製造時点で微細な形状のものです。二次的マイクロプラスチックは大きなプラスチック製品が紫外線や波により劣化・破砕されて生成されるフラグメント(破片)を指します。

日本での主な発生源(家庭/産業/人工芝等)と流出モデル

日本国内でも、世界と同様に衣類洗濯から大量のマイクロファイバーが下水に流出しています。下水処理施設では処理方式により除去効率が大きく異なり、高度処理では80~99%の除去が報告されていますが、除去された粒子は処理汚泥に残留することが多く、また合流式下水道の雨天時越流により一部が海洋へ流出しています。合成繊維の衣類1回の洗濯で数十万から数百万本のマイクロファイバーが発生すると報告されています。自動車タイヤや建築塗料など高摩耗製品からも大量の二次マイクロプラスチックが発生します。タイヤの摩耗だけでも世界で年間約600万トンが大気中や水路に流入しており、これがマイクロプラスチックの主要な供給源の一つであることが示唆されています。また、スポーツ施設の人工芝や製造工程からの流出も重要な発生源です。海洋に漂うマイクロプラスチックのうち約80~90%が河川・下水処理場など陸域由来で、雨水や生活排水とともに海洋へ到達します。

(参照:Kole, P. J., et al. (2017). Wear and tear of tyres: A stealthy source of microplastics. Environmental Science & Technology.

影響の概観(生態系・食品・地域経済)

東京湾で捕れたカタクチイワシの調査では、64匹のうち49匹の体内から合計150個のマイクロプラスチックが検出されています(1匹あたり平均2.3個)2025年2月の研究では、成人の脳・肝臓・腎臓すべてのサンプルからマイクロプラスチックが検出されました。海洋プラスチックごみは観光業や漁業・養殖業に深刻な経済的損失をもたらしており、APEC地域では2015年時点で年間112億米ドル(漁業・養殖業、海運、観光業等の合計)と推定されています。海洋生物への蓄積は複数の研究で確認され信頼度が高い一方、人体への健康影響はさらなる研究が必要です。

(参照:Tanaka, K., & Takada, H. (2016). Microplastic fragments and microbeads in digestive tracts of planktivorous fish from urban coastal waters. Scientific Reports.
(参照:Nihart, A. J. et al. (2025). Bioaccumulation of microplastics in decedent human brains. Nature Medicine / PubMed entry.

日本の政策・ガイドラインまとめ(何が決まっていて、今何が求められるか)

日本では2018年以降、マイクロプラスチック対策が法律に明記され段階的に強化されています。企業の自主的な取り組みを促進する枠組みが中心です。

主要政策とアクション(環境省・自治体の要旨)

2018年6月改正の「海岸漂着物処理推進法」で、法律上初めてマイクロプラスチック対策が明確化されました。2019年の「プラスチック資源循環戦略」では、2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%削減、2035年までに使用済プラスチックを100%有効利用する目標が設定されました。2022年4月には「プラスチック資源循環促進法」が施行され、製品設計から廃棄までのライフサイクル全体で資源循環が求められています。

企業・自治体の代表的な取り組み(短い事例:何をして効果は?)

スズキ株式会社は世界初の船外機搭載マイクロプラスチック回収装置を開発し、走行しながら水面の回収が可能になりました。スポーツウェアブランドでは、特殊加工技術により洗濯時のマイクロファイバー流出を50%以上削減しています。洗濯時の繊維くず量測定方法が国際規格(ISO 4484-3)として2023年5月に制定され、日本化学繊維協会も標準化活動を通じて取り組んでいます。自治体では東京都が削減グッドプラクティス集を公開し、事業者支援を進めています。

現行政策の限界と今後の注目点(法規制の見通し)

日本は現時点で「製造や販売の全面禁止」といった直接的な規制は限定的で、事業者の自主的対策を促進する枠組みが基本です。一方で、2018年6月の海岸漂着物処理推進法改正、2019年のプラスチック資源循環戦略策定、2022年4月のプラスチック資源循環促進法施行など、段階的な制度整備は進んでいます(ただしEUなどと比べると義務規制の範囲は限定的です)。EUでは2023年10月にマイクロプラスチックの段階的禁止を開始し、フランスは2025年以降に販売される新品洗濯機へのマイクロプラスチック回収フィルター搭載を目標とする方針を打ち出しています。日本でも今後、洗濯機フィルター義務化やマイクロビーズの使用制限など、具体的な法規制が検討される可能性が高まっています。

(参照:欧州議会・報道資料(フランスの洗濯機フィルター方針、2025目標等))

すぐ始められる対策(家庭/企業/自治体別)

マイクロプラスチック削減は、家庭・企業・自治体それぞれの立場で今日から実践できます。優先順位をつけて段階的に取り組むことが重要です。

家庭向け:簡単にできる習慣と推奨製品(期待できる効果の目安)

洗濯機用後付けマイクロファイバーフィルターの捕捉率は、製品や試験条件により大きく変動します。標準的な糸くずフィルターでは長さ3mm以上のファイバーについては高い補足が期待できる一方で、3mm未満といった微小繊維の捕捉は製品差が大きいです。専用の後付けフィルターでは最大80%程度の削減効果を報告する研究もあり、価格帯は3,000円~15,000円程度です。製品選択時は第三者試験の有無や捕捉対象の粒径域を確認しましょう。国内大手メーカー製の洗顔料や歯磨き粉からマイクロビーズはほぼ撤廃されましたが、海外製品や業務用には依然として含まれる場合があります。化粧品購入時は成分表示で「ポリエチレン」「ポリプロピレン」を確認しましょう。天然素材の衣類を選び、洗濯時は水温を下げ時間を短縮することも効果的です。

企業向け:製品設計・工程管理・回収スキームの優先順位

製品設計段階でマイクロプラスチック低排出素材を選定し、製造工程でのレジンペレット流出防止管理を徹底することが優先事項です。住友ゴム工業は天然素材充填材を用いた人工芝システムを開発し、AGCは天然由来シリカビーズによるマイクロプラスチックビーズの代替を実現しました。全国清涼飲料連合会は「2030年までにボトルtoボトル比率50%」を掲げ、主要メーカーが100%リサイクルPET導入を推進しています。

自治体・施設向け:インフラ整備・市民参加の進め方(導入コスト感も)

下水処理施設では高度処理により多くのマイクロプラスチックを捕捉できる(除去率80~99%と報告)一方、除去された粒子が処理汚泥に残留することも多いです。また、雨天時の合流式下水道での越流放流により未処理のまま河川・海域へ流出する経路もあり、「流入量削減」には発生源対策との組み合わせが不可欠です。自治体は市民啓発(年間数十万円)から開始し、人工芝施設の管理強化や河川キャッチャー設置(施設あたり数百万円)、下水処理施設のさらなる高度化(数億円規模)へと段階的に進めることが現実的です。環境省は一般向けのマイクロプラスチック発生抑制・流出抑制対策リーフレットを作成しており、これを活用した市民啓発が第一歩です。

(参照:Liu, W. (2021) / Miino, M. (2024). Reviews on microplastic removal in WWTPs. (例:Liu 2021; Miino 2024).

技術と展望 — 回収・除去・代替素材の実用性と限界

マイクロプラスチック対策技術は急速に進化していますが、それぞれにコスト・効果・適用範囲の制約があります。技術の成熟度と経済性のバランスが重要です。

洗濯用フィルター/下水処理での除去技術の効果とコスト

家庭用後付けフィルターは捕捉率50~90%で導入コスト3,000~15,000円、ランニングコスト月数百円です。フランスは2025年以降に販売される新品洗濯機へのマイクロプラスチック回収フィルター搭載を目標とする方針を打ち出しています。下水処理の高度化は除去率95~99%ですが、施設改修に数億円規模の投資が必要で、費用対効果の慎重な検討が不可欠です。

回収装置・河川キャッチャーの導入事例(効果指標)

スズキは船外機搭載型回収装置を開発し、国内モニタリング調査でマイクロプラスチックの回収を確認しました。株式会社平泉洋行は水面ドローンJELLYFISHBOTによる自動回収を実現し、JFEエンジニアリングは濾過装置を具備するバラスト水処理装置を開発しています。これらは港湾や河川での局所的な回収には有効ですが、広域の海洋汚染への対応には限界があり、発生源対策との組み合わせが必須です。

代替素材(生分解性等)の現実的評価と注意点

カネカは海水中でも生分解性を有するバイオポリマーGreen Planet®を開発し、東レは海洋生分解する真球状ポリアミド4微粒子を開発しました。生分解性プラスチックは海水温や微生物の活性により分解速度が変動し、陸上環境では分解しない場合もあります。また、従来プラスチックより高コストで性能面での制約もあるため、用途を見極めた選択が重要です。

(参照:環境省グッドプラクティス集(マイクロプラスチック事例一覧;スズキ、JELLYFISHBOT等)

まとめ&FAQ

マイクロプラスチック対策は個人の小さな行動から始まります。家庭では洗濯機フィルター設置と製品選択、企業では製品設計と工程管理、自治体では市民啓発とインフラ整備がそれぞれ重要です。環境省のグッドプラクティス集を参考に効果的な取り組みを進めましょう。

FAQ(よくある質問)

Q1. マイクロプラスチックは人体にどのような影響がありますか?
脳・肝臓・腎臓への蓄積が確認されていますが、健康影響の詳細はさらなる研究が必要です。

Q2. 家庭で最も効果的な対策は何ですか?
洗濯機用フィルター設置が効果的で、50~90%の捕捉率が期待できます。

Q3. 日本の規制は今後どうなりますか?
洗濯機フィルター義務化などが検討される可能性があります。

Q4. 生分解性プラスチックは完全な解決策ですか?
海洋では分解しますが、陸上では分解しない場合もあり用途を見極める必要があります。

Q5. 企業が対策に取り組むメリットは?
環境規制への先行対応、企業イメージ向上、ESG評価向上などがあります。