プラスチックはリサイクルすると何になる?リサイクル法や製品例も
プラスチックはリサイクルすると何になる?リサイクル法や製品例も

毎日使っているペットボトルや食品トレーなどのプラスチック容器は、捨てた後どうなるかご存じでしょうか。実は私たちが分別したプラスチックは、様々な製品に生まれ変わって再び生活の中で活躍しています。
本記事では、プラスチックリサイクルで生まれる身近な製品例から、3種類のリサイクル方法、正しい分別の仕方まで詳しく解説します。日本の廃プラスチック総排出量は2023年に769万トンで、有効利用率は89%に達しています。(参照:プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況|一般社団法人 プラスチック循環利用協会)
プラスチックをリサイクルすると何になる?身近な製品例を紹介
リサイクルされたプラスチックは、私たちの身の回りにある多くの製品として生まれ変わっています。ペットボトルから作られる衣料品や新しい容器、公共の場で使われるベンチや遊具、さらには化学製品の原料やエネルギーとしても活用されています。ここでは具体的な製品例を見ていきましょう。
ペットボトル・容器類が生まれ変わる製品(衣料品、新しいペットボトル、詰め替えパックなど)
ペットボトルは、衣料用ポリエステルと同じPET(ポリエチレンテレフタレート)を原料としているため、衣料品の繊維として再生することができます。2023年度の国内で再生されたPET樹脂のうち、繊維用途は約28.6千トンで、全体の約7.3%に相当します。
それらは繊維製品に生まれ変わり、作業服や学校の体操服、ユニフォーム、フリース素材などに活用されています。これらの再生繊維は新たに石油から作る場合と比べて環境負荷が低く、機能面でも通常のポリエステルと遜色ない品質を保っています。
また、ペットボトルから再びペットボトルを作る「ボトルtoボトル」と呼ばれる水平リサイクルも進んでおり、2023年度には国内で再生されたペットボトルのうちボトルtoボトルの比率が33.7%に達しました。前年度の29.0%から大きく伸びており、何度でも繰り返しリサイクルできる「ボトルtoボトル」の仕組みが着実に広がっています。
さらに、食品トレー、卵パック、クリアファイル、洗剤ボトル、詰め替えパックなど、シート類や成形品としても幅広く利用されています。
(参照:PETボトルリサイクル年次報告書2024|PETボトルリサイクル推進協議会)
公共設備・建材として再利用される製品(ベンチ、遊具、道路資材など)
リサイクルプラスチックは公共施設の設備としても活用されています。公園のベンチや遊具、プランター、フェンスなどの屋外設備は、耐久性と耐候性に優れた再生プラスチックの特性を生かした製品です。
また、建築資材としても需要が高く、建築用パネル、床材、断熱材、道路の舗装材などにも使用されています。これらの製品は軽量で加工しやすく、腐食しにくいという特長があり、長期間の使用に適しています。
自動車産業でも積極的に活用されており、車の内装材、防音材、シートの部品などに再生プラスチックが採用されています。EUでは自動車ELV(使用済み車両)規則において、新車に含まれるプラスチックの再生材利用が義務化される見通しです。
2025年12月に欧州議会と理事会が暫定合意に達し、新車に使用するプラスチックの再生材含有率について、規則の発効後6年以内に15%、10年以内に25%という段階的目標が定められました。このうち20%は使用済み車両(ELV)や車両から回収された部品由来のプラスチックを使用する必要があります。
規則は今後、欧州議会および理事会での正式採択を経てEU官報に公布され、官報掲載後に発効し、発効から2年後に適用開始となる予定です。
(参照:自動車向け再生プラスチック市場構築アクションプラン|環境省・経済産業省)
(参照:REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL|EUR-Lex)
日用品・文具類(ボールペン、定規、収納ケースなど)
家庭や職場で使う日用品の多くも再生プラスチックから作られています。ボールペン、定規、ファイル、クリップ、セロテープ台などの文具類は、リサイクルプラスチックの代表的な用途です。
また、収納ケース、ハンガー、ゴミ箱、バスケット、カーペット、クッション材なども再生プラスチック製の製品が数多く流通しています。これらの製品は日常的に使用するものであり、消費者が再生品を選択することで循環型社会の実現に貢献できます。
特に台所用洗剤ボトルは、元のペットボトルと同じような形状でありながら、全く異なる用途で活用される好例です。産業用途では結束バンドや工場で使用される各種部品としても利用され、幅広い分野で再生プラスチックが活躍しています。
化学製品の原料・エネルギーとして利用(コークス、アンモニア、燃料など)
プラスチックは化学的に分解して原料に戻すケミカルリサイクルや、燃焼させてエネルギーを取り出すサーマルリサイクルにも活用されています。
ケミカルリサイクルでは、プラスチックを化学的に分解してモノマーや石油化学原料に戻し、コークス、アンモニア、メタノールなどの化学製品の製造に利用します。この方法は品質の高い再生材料を得られる利点があります。
サーマルリサイクルでは、プラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを発電や熱供給に活用します。2023年のデータでは、日本のプラスチックリサイクルによるエネルギー削減効果は251PJとなり、これは一般家庭の約565万世帯分の年間エネルギー消費量に相当します。
ただし、欧州ではサーマルリサイクルをリサイクル率に含めないため、国際的には物質として再利用するマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの推進が求められています。
プラスチックのリサイクル方法は3種類
プラスチックのリサイクルには、物理的に再生する「マテリアルリサイクル」、化学的に分解する「ケミカルリサイクル」、熱エネルギーとして活用する「サーマルリサイクル」の3つの方法があります。それぞれ特徴や適した用途が異なり、プラスチックの種類や状態によって最適な方法が選ばれています。
マテリアルリサイクル:新しいプラスチック製品に再生
マテリアルリサイクルは、使用済みプラスチックを粉砕・洗浄・溶融などの物理的処理を行い、新しい製品の原材料として再利用する方法です。プラスチックの形を変えて再利用するため、処理工程が比較的シンプルでコストを抑えられ、環境への負担も小さいという特長があります。
具体的には、回収したプラスチックを細かく砕いてフレーク状にし、洗浄して不純物を除去した後、熱で溶かして「ペレット」と呼ばれる小さな粒状にします。このペレットが新しい製品の原料となり、ボトル、文具、繊維製品、建材などに成形されます。
日本では主にポリプロピレンやポリエチレンが製品化され、ポリスチレンも一部で製品化されています。ただし、再利用を重ねると素材の品質が徐々に低下する場合があるため、バージン素材を混ぜることが一般的です。
(参照:プラスチックとリサイクル8るの「?」|一般社団法人 プラスチック循環利用協会)
ケミカルリサイクル:化学分解して原料に戻す
ケミカルリサイクルは、プラスチックを化学的に分解してモノマーや石油化学原料に戻し、再び高品質なプラスチックや化学製品の原料として利用する方法です。マテリアルリサイクルと異なり、分子レベルまで分解するため、品質の劣化がなく何度でも繰り返しリサイクルすることが可能です。
この方法では、プラスチックを高温高圧下で分解し、コークス炉化学原料化、ガス化、油化などのプロセスを経て、アンモニア、メタノール、合成ガスなどの化学製品に転換します。
近年では塩素対策を考慮した廃プラスチックのケミカルリサイクル技術も開発されており、より高品位・高機能の再生繊維を生産できるようになっています。ただし、化学的処理には高度な設備と技術が必要で、初期投資やエネルギーコストが高いという課題があります。それでも、循環型社会の実現に向けて、今後さらなる技術革新と普及が期待されている分野です。
サーマルリサイクル:熱エネルギーとして活用
サーマルリサイクルは、プラスチックを焼却する際に発生する熱エネルギーを回収し、発電や地域の熱供給に活用する方法です。日本では廃棄物発電施設において、プラスチックの持つ高いカロリーを利用して電気や熱を生み出しています。
2023年のデータでは、プラスチックリサイクルによるエネルギー削減効果は251PJに達し、これは約565万世帯分の年間エネルギー消費量に相当する規模です。焼却時に発生する熱を有効活用することで、化石燃料の使用量を削減できるメリットがあります。
しかし、欧州ではサーマルリサイクルをリサイクルとして認めておらず、日本のサーマルリサイクルを除いたマテリアルリサイクル(22%)とケミカルリサイクル(3%)を合わせた比率は約25%と低水準にあります。国際的には物質として循環させるマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの推進が求められており、サーマルリサイクルは補完的な位置づけとして捉えられています。
リサイクルに出せるプラスチックの見分け方
プラスチック製品すべてがリサイクル可能なわけではありません。正しく分別するためには、容器や包装に表示されている識別マークを確認することが大切です。ここでは、リサイクルできるプラスチックの見分け方と、リサイクルに適さないプラスチックの種類を解説します。
プラマークとPETマークの違い

プラスチックのリサイクルマークには「プラマーク」と「PETマーク」の2種類があります。
プラマークは四角形の中に「プラ」の文字が入ったマークで、飲料・酒類・特定調味料用ペットボトルを除くプラスチック製容器包装に表示が義務付けられています。対象となるのは、お弁当容器、食品トレー、レジ袋、洗剤ボトル、発泡スチロールの緩衝材など、商品を使用する際に不要となる容器や包装です。
一方、PETマークは三角形の中に「PET」と「1」の文字が入ったマークで、ポリエチレンテレフタレート素材で作られた飲料用や特定調味料用のペットボトルにのみ表示されます。ペットボトル本体はPETマークの対象ですが、キャップとラベルはプラマークの対象となるため、分別時には外す必要があります。
これらの識別マークは資源有効利用促進法により2001年4月から表示が義務化され、消費者が分別しやすい仕組みが整えられています。
(参照:識別表示マーク|経済産業省)
リサイクルできないプラスチックの種類
プラマークやPETマークが付いているプラスチックでも、いくつかの理由でリサイクルできない場合があります。
まず、汚れや臭いが落ちないプラスチックは、リサイクル工程で他のプラスチックを汚染し、再生製品の品質を低下させるため、リサイクルの対象外となります。食品残渣や油分が付着したまま出すと、せっかく分別した他のプラスチックまで汚してしまい、結果的に焼却処分されてしまいます。
また、ラップフィルムのような薄いプラスチックや3センチ以下の小さなプラスチック製品は、リサイクル施設の機械に巻き付いたり挟まったりして故障の原因となるため回収されません。
さらに、複数の素材が混在している製品、例えば靴、バッグといった繊維と合成ゴムが組み合わされた製品なども、素材の分離が困難でリサイクルには適していません。デオドラントの固形容器やプラスチックパッケージも、複雑な構造や残留成分の問題から多くの自治体でリサイクル対象外とされています。
リサイクルを成功させるには、各自治体のルールに従った適切な分別が不可欠です。
(参照:汚れたプラスチックはリサイクルできません|東松山市)
効果的にリサイクルするために私たちができること
プラスチックのリサイクルを成功させるには、私たち一人ひとりの適切な分別と洗浄が不可欠です。また、企業や自治体も様々な取り組みを通じてリサイクル率の向上を目指しています。ここでは、家庭でできる具体的なポイントと、参考になる先進事例を紹介します。
正しい分別と洗浄のポイント
プラスチックを効果的にリサイクルするには、まず中身を使い切ることが基本です。食品容器や袋は残りかすが付着していないものはそのまま出せますが、どうしても残る場合は食器を洗った後の残り水などを利用して軽くすすぎます。ただし、水ですすいでも汚れや臭いが取れないものは可燃ごみとして出してください。無理に洗浄するとかえって水資源を無駄にしてしまいます。
ペットボトルは、キャップとラベルを外して中をすすぎ、つぶしてから出すことで輸送効率が高まります。キャップを外すのは、中身を完全に空にして出すことを促す意味もあり、また密閉状態で時間が経つとニオイや汚れが落ちにくくなるのを防ぐためです。
食品トレーは、キッチンペーパーで油分や食品カスを拭き取ってから水洗いし、値札シールやラップは必ず剥がします。袋を二重にせず、中身の見える袋に入れて指定の収集日に出すことも重要です。
これらの適切な分別と洗浄により、リサイクル施設での作業効率が向上し、再生製品の品質も保たれます。
(参照:プラスチック資源の分け方の例|大阪市)
リサイクル率を上げる企業・自治体の取り組み事例
国内では多くの企業と自治体が連携してプラスチックリサイクルの推進に取り組んでいます。
日本コカ・コーラは2030年までに全てのペットボトルを100%サステナブル素材に切り替える目標を掲げ、2021年から主要製品に100%リサイクルペットボトルを導入しました。この取り組みにより年間約35,000トンの温室効果ガス排出量と約30,000トンの新規プラスチック使用量の削減が見込まれています。
花王とライオンは共同で店頭に詰め替えパック専用の回収ボックスを設置し、2023年5月には回収したパックを再び詰め替えパックに再生する「水平リサイクル」を実現した製品を発売しました。この製品にはリサイクル材料が約10%使用されており、そのうち店頭回収パック由来は約1%です。従来リサイクルが困難とされてきた複合素材のフィルム容器を同じ用途に再生した画期的な取り組みといえます。
神戸市では2021年10月から「神戸プラスチックネクスト」プロジェクトを開始し、市内75店舗の小売店舗で使用済みの詰め替えパックを回収して再び詰め替えパックに戻す「水平リサイクル」を目指す取り組みを進めています。プロジェクト開始から2年間で約2.76トンの詰め替えパックが回収され、回収物の異物混入率は毎月5%前後と低く、市民の分別意識の高さが示されています。
愛知県ではプラスチック、バイオマス、繊維などテーマごとにプロジェクトチームを設置し、地域の事業者、金融機関、大学が参画してサーキュラーエコノミーを推進しています。
さらに、2025年4月からは横浜市や大田区など複数の自治体がプラスチック製容器包装に加えて製品プラスチックの分別回収を開始し、温室効果ガスの削減に取り組んでいます。
まとめ
プラスチックはリサイクルによって衣料品、新しいペットボトル、公共設備、日用品、化学製品など多様な製品に生まれ変わります。マテリアル、ケミカル、サーマルの3つのリサイクル方法があり、それぞれ特性に応じて活用されています。
効果的なリサイクルには、プラマークとPETマークの確認、適切な洗浄と分別が不可欠です。私たち一人ひとりが正しい分別を実践し、企業や自治体の取り組みに協力することで、循環型社会の実現に貢献できます。

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