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ミネラルウォーター4種類の違いと選び方|軟水・硬水など

ミネラルウォーター4種類の違いと選び方|軟水・硬水など

ミネラルウォーター4種類の違いと選び方|軟水・硬水など

ミネラルウォーターは原水や処理方法によって4つの種類に分類され、硬度によって軟水と硬水に区別されます。この記事では、ラベルの見方から用途別の選び方まで、成分表を使って分かりやすく解説します。赤ちゃんのミルク作りやコーヒー、料理など、目的に応じた最適な水を選べるようになります。

ミネラルウォーターの基本 — 種類の定義とラベルの見方

ミネラルウォーター類は食品衛生法で「水のみを原料とする清涼飲料水」と定義されています。採水地や処理方法により4つに分類され、それぞれ特徴が異なります。ラベルの表記を理解することで、自分に合った水を選べるようになります。

ナチュラルウォーター/ナチュラルミネラルウォーター/ミネラルウォーター/ボトルドウォーターの定義

農林水産省の品質表示ガイドラインに基づき、ミネラルウォーター類は原水と処理方法によって以下の4種類に分類されます。

表A:ミネラルウォーター類の種類比較

種類原水処理の有無代表的ミネラル硬度の決まり方
ナチュラルウォーター特定水源の地下水ろ過・沈殿・加熱殺菌のみCa、Mg(少量)採水地の地質で決定
ナチュラルミネラルウォーターミネラル含有地下水ろ過・沈殿・加熱殺菌のみCa、Mg、Na、K採水地の地質で決定
ミネラルウォーター地下水(混合・調整可)ミネラル調整・ばっ気可Ca、Mg、Na(調整済)メーカーによる調整
ボトルドウォーター地下水または水道水処理方法問わず処理により変動処理方法で決定

※重要:硬度は製品の「種類」では決まりません。ナチュラルウォーター類は採水地の地質、ミネラルウォーターは調整内容、ボトルドウォーターは処理方法によって決まります。必ずラベルの成分表で実際の硬度数値を確認してください。

ナチュラルミネラルウォーターは自然のミネラルをそのまま含む水で、ミネラルウォーターは品質安定のため調整が施されている点が主な違いです。

(出典:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示|農林水産省
(出典:清涼飲料水(ミネラルウォーター類)製造における『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』の手引書|厚生労働省
(出典:東京都水道局|東京都水道局

ラベルでチェックすべき主な項目:種類・採水地・硬度・処理方法・主要ミネラル

ミネラルウォーターのラベルには重要な情報が記載されています。まず「名称」欄で種類(ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーター等)を確認しましょう。

採水地は水の品質を左右する要素で、山岳地帯や火山地帯など地層によってミネラル組成が変わります。ただし、ボトルドウォーター(水道水由来等)の場合は採水地が一括表示欄に記載されないことがあります。表示がない場合は、種類表記や成分表から製品の特徴を判断してください。

硬度は「30 mg/L」のように数値で表記され、カルシウムとマグネシウムの含有量を示します。主要ミネラルはCa(カルシウム)20 mg/L、Mg(マグネシウム)5 mg/L、Na(ナトリウム)10 mg/Lなどと記載されています。処理方法として「加熱殺菌」「非加熱・ろ過除菌」などの表記も確認できます。

硬度と主要ミネラルがもたらす違い(味・用途・健康)

硬度は水の味わいや調理への適性を決める重要な指標です。カルシウムとマグネシウムの含有量で算出され、軟水と硬水では飲み口や料理への影響が大きく異なります。ミネラル成分ごとの特徴を理解することで、目的に合わせた水選びができます。

硬度とは(mg/Lでの数値基準)と味・用途ごとの影響

硬度は水1リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウム(CaCO3)に換算した数値で、mg/L単位で表されます。計算式は「カルシウム濃度(mg/L)×2.497+マグネシウム濃度(mg/L)×4.118」で算出されます。

WHO(世界保健機関)の基準では、硬度60 mg/L未満を「軟水(soft)」、60~120 mg/Lを「中程度の硬水(moderately hard)」、120~180 mg/Lを「硬水(hard)」、180 mg/L以上を「非常な硬水(very hard)」と分類しています。これは味や性状に関する分類の目安であり、直接的な健康規制値ではありません。軟水は口当たりが軽くまろやかで、日本料理や赤ちゃんのミルク作りに適しています。硬水はミネラル分が豊富で飲みごたえがあり、洋食や運動後のミネラル補給に向いています。

(出典:飲料水水質ガイドライン|WHO
(出典:水道水質基準について|環境省

Ca/Mg/Na の役割と一目でわかる比較表

ミネラルウォーターに含まれる主要なミネラルは、それぞれ異なる役割と影響を持っています。カルシウム(Ca)は骨や歯の形成に関わり、まろやかな味わいをもたらします。マグネシウム(Mg)は酵素の働きを助けますが、含有量が多いと苦みや重い飲み口になります。ナトリウム(Na)は体液バランスの調整に関与し、適量であればほのかな甘みを感じさせます。

表B:主要ミネラルの比較(味・調理・健康への影響)

ミネラル味への影響調理への適性赤ちゃんへの影響推奨用途
Ca(カルシウム)まろやかさ、コク和食の出汁取り◎適量なら問題なし(過剰注意)コーヒー、お茶、米炊き
Mg(マグネシウム)苦み、重厚感肉の煮込み◎、アク抜き消化器系に負担(要注意)スポーツ後、便通サポート
Na(ナトリウム)ほのかな甘み塩味調整に影響腎臓に負担(低Na推奨)日常飲用(適量)

(出典:日本人の食事摂取基準|厚生労働省
(出典:カルシウム・マグネシウム等(硬度)の食品健康影響評価|食品安全委員会

3. 用途別の選び方(赤ちゃん/コーヒー/料理/スポーツ)

ミネラルウォーターは用途によって最適な硬度が異なります。赤ちゃんのミルク作りには軟水、コーヒーや日本料理には低硬度の水、スポーツ後には適度なミネラルを含む水が適しています。ここでは具体的な硬度レンジと選び方のポイントを解説します。

赤ちゃん:なぜ軟水を推奨するか(注意点・切替のコツ)

厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、調乳時に硬水(ミネラル分が多く含まれる水)を避けるよう注意を促していますが、具体的な硬度の数値基準は示されていません。一方、国内の乳児用ミルクメーカー(明治、雪印ビーンスターク等)は、各社の製品特性に基づき「硬度120 mg/L以下を目安、できれば60 mg/L以下」と案内する例が多く見られます。具体的な推奨値はメーカーや製品によって異なるため、使用する粉ミルクの注意書きを必ず確認してください。
その理由は、赤ちゃんの消化器官や腎臓が未発達なため、ミネラルを多く含む硬水では内臓に負担がかかる可能性があるためです。特にマグネシウムが多いと下痢を引き起こすリスクがあります。

ミルク用の水を選ぶ際は、ラベルで硬度を確認し、「軟水」「赤ちゃんに適した水」などの表記があるものを選びましょう。また、開封後は冷蔵保存し、早めに使い切ることが大切です。水道水を使用する場合は、一度沸騰させて冷ましてから使用します。生後6ヶ月頃から徐々に硬度の高い水への切り替えが可能ですが、急激な変更は避け、医師や助産師に相談しながら進めることをお勧めします。

(出典:授乳・離乳の支援ガイド|厚生労働省

コーヒー・お茶・料理:理想的な硬度レンジと風味への影響

コーヒーや日本茶には硬度30~80 mg/Lの軟水が最適です。軟水は素材本来の香りや味わいを引き出しやすく、コーヒーの酸味やお茶の旨味成分を損なわずに抽出できます。硬度が高いとミネラルがタンニンと結合し、渋みが抑えられてマイルドになる一方、本来の風味が弱まります。

日本料理では軟水(50 mg/L以下)が推奨されます。昆布やかつお節の出汁は軟水でよく溶け出し、米も水分を吸収してふっくら炊き上がります。一方、洋食の肉料理には硬度100~300 mg/Lの中硬水が適しています。カルシウムが肉のタンパク質と結合してアクを出しやすくし、煮込み料理を柔らかく仕上げます。パスタを茹でる際も硬水を使うとコシが出やすくなります。

表C:用途別の最適硬度レンジ

用途推奨硬度(mg/L)理由
コーヒー・日本茶30~80香り・旨味の抽出に最適
米炊き・和食出汁30~50素材の味を引き出す
肉の煮込み・洋食100~300アク抜き・肉を柔らかく
パスタ茹で100~200コシが出やすい

※これらの数値は料理の専門家や業界の経験則に基づく参考値であり、公的な基準ではありません。

スポーツ/日常飲用:電解質補給としてのミネラルの考え方

スポーツや運動後のミネラル補給には、硬度80~200 mg/Lの中硬水が適しています。発汗により失われるナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質を効率的に補給できます。特にマグネシウムは筋肉の収縮や疲労回復に関わるため、運動時の水分補給に重要です。

ただし、ミネラルウォーターだけで1日に必要なミネラルを全て補うことは現実的ではありません。カルシウムやマグネシウムの推奨摂取量を満たすには数十リットルの水が必要になるため、基本的には食事から摂取することが前提です。日常飲用では、硬度50~100 mg/Lの軟水~中硬水が飲みやすく、継続的な水分補給に適しています。ミネラルウォーターは、あくまで水分補給と微量のミネラル摂取の補助として活用しましょう。

注:スポーツ時の推奨硬度についても、公的機関による明確な基準値は存在しません。これらは一般的な健康情報や飲料業界の推奨に基づく目安です。運動強度や発汗量、個人の体質によって適した水分・ミネラル補給方法は異なります。

(出典:日本人の食事摂取基準|厚生労働省
(出典:スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック|日本体育協会

4. 比較チェックリストとよくある誤解(Q&A)/まとめ

ミネラルウォーターを選ぶ際は、ラベルの情報を体系的にチェックすることが重要です。また、価格や健康効果について誤解されやすいポイントがあります。ここでは実用的なチェックリストと、よくある疑問への科学的な回答を提供します。

ラベル比較チェックリスト(表) — 採水地・硬度・処理・成分で即比較

ミネラルウォーターを購入する際は、以下のチェックリストを活用して、目的に合った水を選びましょう。ラベルの情報を表に整理することで、複数の商品を効率的に比較できます。

表D:ミネラルウォーター選びのチェックリスト

確認項目チェックポイント選択基準の例
種類ナチュラルミネラルウォーター/ミネラルウォーター/ボトルドウォーター自然のまま→ナチュラル系
採水地※山岳地帯/火山地帯/平地地域の特性で選ぶ
硬度(mg/L)数値を確認赤ちゃん:120以下(推奨60以下)、料理:30~80、スポーツ:80~200
Ca濃度(mg/L)カルシウム含有量骨の健康重視なら高め
Mg濃度(mg/L)マグネシウム含有量運動後・便通サポートなら高め、赤ちゃんは低め
Na濃度(mg/L)ナトリウム含有量塩分制限中は低Na選択
処理方法加熱殺菌/非加熱・ろ過除菌風味重視なら非加熱
pH値酸性~アルカリ性(5.8〜8.6)好みで選択

※ボトルドウォーター(水道水由来等)の場合、採水地が一括表示欄に記載されないことがあります。その場合は種類表記と成分表で判断してください。

このチェックリストを使って、店頭やオンラインで複数の商品を比較し、用途に最適な水を見つけてください。

よくある誤解と短い科学的回答

Q1:ミネラルウォーターと鉱泉水の違いは何ですか?

A:日本の品質表示ガイドラインでは、ミネラルウォーター類は4種類(ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーター)に分類されており、「鉱泉水」は独立した公式カテゴリーではありません。一般的に「鉱泉水」と呼ばれる製品は、地下から湧出するミネラルを含む水を指し、品質表示上は「ナチュラルミネラルウォーター」に分類されることが多いです。ただし、温泉法における「鉱泉」(25℃未満で特定成分を含む地下水)とは定義が異なる場合があるため、商品のラベル表記を必ず確認してください。

Q2:赤ちゃんにはどの硬度の水が安全ですか?

A:厚生労働省は具体的な硬度の数値基準を示していませんが、国内の乳児用ミルクメーカー(明治、雪印ビーンスターク等)は「硬度120 mg/L以下を目安、できれば60 mg/L以下」の軟水を推奨しています。赤ちゃんの消化器官や腎臓は未発達なため、ミネラル含有量の多い硬水は内臓に負担をかける可能性があります。特にマグネシウムの過剰摂取は下痢を引き起こすリスクがあるため、使用する粉ミルクの注意書きを必ず確認し、ラベルで硬度をチェックしましょう。
※推奨値はメーカーや製品によって異なる場合があります。

Q3:コーヒーに最適な水の硬度は?

A:硬度30~80 mg/Lの軟水が一般的に推奨されます。軟水はコーヒー本来の香りや酸味を引き出しやすく、バランスの良い味わいになります。硬水を使うと渋みが抑えられマイルドになりますが、風味の個性は弱まる傾向があります。

Q4:高価なミネラルウォーターほど品質が良いのですか?

A:価格は品質の絶対的な指標ではありません。価格は採水地の希少性、輸送コスト、ブランド価値などで決まります。日本の食品衛生法により、すべてのミネラルウォーター類は厳格な安全基準を満たしています。用途に合った硬度と成分で選ぶことが重要です。

Q5:ミネラルウォーターを飲みすぎるリスクはありますか?

A:過剰な水分摂取は水中毒(低ナトリウム血症)のリスクがあります。また、硬水の飲みすぎはマグネシウムの過剰摂取につながり、下痢や消化器系の不調を引き起こす可能性があります。健康な成人の1日の水分摂取目安は1.5~2リットル程度です。ミネラルは基本的に食事から摂取し、水はあくまで補助として活用しましょう。

(出典:健康のため水を飲もう推進運動|国土交通省

まとめ:用途別おすすめ一覧

赤ちゃんのミルク:硬度120 mg/L以下(できれば60 mg/L以下)の軟水。使用する粉ミルクの注意書きを確認
コーヒー・日本茶:硬度30~80 mg/Lの軟水
日本料理(出汁・米炊き):硬度30~50 mg/Lの軟水
洋食・肉料理:硬度100~300 mg/Lの中硬水
スポーツ後:硬度80~200 mg/Lの中硬水

ミネラルウォーターは種類、硬度、成分によって味わいや用途が異なります。ラベルの情報をしっかり確認し、目的に合った水を選びましょう。

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