COP30とは?開催日・開催地・ネイチャーCOPなど解説
COP30とは?開催日・開催地・ネイチャーCOPなど解説

COP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)は、2025年11月10日から21日まで、ブラジル・ベレンで開催される国際会議です。なお、COP30本会議に先立ち、11月6-7日にはベレン気候サミット(首脳会議)が開催されます。パリ協定採択から10年の節目となる本会議は、議長国ブラジルが森林保全に関する議論を大きな論点に据えているため「ネイチャーCOP」と呼ばれており、気候変動と生物多様性を統合的に扱う画期的な機会として世界中から注目を集めています。アマゾン熱帯雨林の玄関口で開催される意義は大きく、企業や市民にとっても重要な転換点となるでしょう。
COP30とは — 定義と開催の基本情報
気候変動への国際的な取り組みの中核を担うCOP30について、その定義と開催に関する基本情報を正確に理解することが重要です。一次情報を基に、会議の概要と確認方法を解説します。
COP(Conference of the Parties)とは何か
COPとは「Conference of the Parties(締約国会議)」の略であり、条約を結んだ国々による会議という意味です。様々な条約ごとにCOPが開催されていますが、最も代表的なのが国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づくCOPです。1995年の第1回会議(COP1)以降、毎年開催されており、各国政府代表が集まり気候変動対策に関する国際的な合意形成を図っています。COP21で採択されたパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えることを目指す国際的な枠組みとして機能しています。
COP30の開催日・開催地・公式情報の確認方法
COP30は2025年11月10日から21日までの12日間、ブラジル連邦共和国パラ州の州都ベレン(Belém)で開催されます。ベレンは人口150万人を擁するアマゾン川河口近くの大都市で、周辺には多くの日系人コミュニティも存在します。公式情報は国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の公式ウェブサイト(unfccc.int)で確認できるほか、日本国環境省も「ジャパン・パビリオン」の設置に関する情報を公式サイトで公開しています。最新の議題や参加登録に関する情報は、これらの一次情報源を定期的にチェックすることをお勧めします。
COP30の主要議題と注目ポイント
COP30では気候変動と自然保護を統合的に扱う議論が展開されます。森林保全を中心とした「ネイチャーCOP」としての性格、資金メカニズムの構築、そして各国の削減目標に関する重要な争点が注目されています。
なぜ「ネイチャーCOP」と呼ばれるのか(森林・生物多様性の焦点)
COP30がネイチャーCOPと呼ばれる理由は、議長国ブラジルが森林保全に関する議論を大きな論点に据えているからです。地球の肺とも言われるアマゾン熱帯雨林に位置するベレンが開催地に選ばれたことは象徴的な意味を持ちます。森林は大気中の炭素を吸収・貯蓄することで気候変動の進行を遅らせると同時に、生物多様性の宝庫でもあります。1.5度目標の達成に不可欠な要素として、森林破壊をゼロにすることの必要性が国際的に認識されており、2030年までに森林破壊ゼロを目指す政治的コミットメントに署名しています。気候変動対策と生物多様性保全を統合的に扱う新たなアプローチが求められています。
熱帯林保全と資金メカニズム(例:TFFF)
ブラジルが提唱する「トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ(TFFF)」は、約$125 billion(約1,250億ドル)の資金調達を目指す森林保護のための途上国向け基金の創設を目指しています。この仕組みは、森林を保全する国々に対して継続的な資金支援を提供することで、森林破壊の経済的インセンティブを変えようとするものです。ブラジルではREDD+(森林減少・劣化の抑制)関連のプロジェクトが増加傾向にあり、森林管理や植林に関するプロジェクトはCO2排出量削減だけでなく、CO2吸収や生物多様性保全にも貢献します。COP30では、こうした森林保全の資金メカニズムをどのように国際的な枠組みに組み込むかが重要な議題となります。
気候資金・NDC・適応策などの国際的争点
COP29で合意された先進国による年間3,000億ドルの気候資金目標に加え、途上国への資金の流れを2035年までに年間1.3兆ドルに増やすことが呼びかけられています。COP30では「1.3兆ドルに向けたバクーからベレンへのロードマップ」の具体化が注目されます。また、2025年2月が2035年の削減目標を含む新たなNDC(国別削減目標)の提出期限でしたが、正式に提出した国はまだ限られています。日本は2025年2月18日にNDCを提出し、2035年度に2013年度比で60%減とする方針を決定しました。1.5度目標と現状との隔たりを埋めるため、具体的な実施策の議論が求められています。
日本・企業・市民への影響とアクションガイド
COP30は日本の気候変動政策や企業活動にも大きな影響を与えます。政府の取り組みから企業や市民が実践できる具体的なアクションまで、様々なレベルでの参加と貢献が期待されています。
日本の関与(ジャパンパビリオン、政府・研究者の動き)
環境省は、COP30開催に合わせて「Solutions to The World」をテーマに、日本の優れた技術や取組を情報発信するための広報用スペース「ジャパン・パビリオン」を設置します。開催地展示の募集期間は2025年6月12日から7月22日まで、バーチャル展示は9月17日まで受け付けられました。日本は2025年2月18日にNDCを提出し、2035年度に2013年度比で60%減、2040年度には73%減とする削減目標を決定しています。政府代表団に加え、研究機関やNGOも現地での議論に参加し、日本の気候変動対策の知見を国際社会と共有する役割を担います。
企業/NGOが取るべき具体的アクション(短期・中長期)
短期的には、企業はサプライチェーンにおける森林影響の評価と開示を進めることが重要です。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示や、気候変動と生物多様性を統合的に捉えたリスク管理が求められています。中長期的には、森林保全プロジェクトへの投資やパートナーシップの構築、バイオエコノミーやネイチャーポジティブなビジネスモデルへの転換が必要です。NGOは市民社会と政策決定者をつなぐ役割を担い、現地コミュニティや先住民の視点を国際議論に反映させることが期待されます。COP30のサイドイベントへの参加や、企業との協働による具体的なソリューション開発も重要なアクションとなります。
争点・注意点とFAQ
COP30には様々な論点と課題が存在します。現地運営上の課題から先住民の参加まで、多角的な視点での理解が必要です。
現地運営・インフラ・先住民参加などの論点まとめ
ベレンは市域人口約140万人(都市圏では約245万人)を擁するアマゾン川河口近くの大都市ですが、196カ国の代表が集まる大規模国際会議の受け入れには、宿泊施設や交通インフラの整備が課題となります。一方で、ブラジルのルーラ大統領は多様なステークホルダーとの気候変動評価として、若者、宗教指導者、先住民、科学者との協働を主要イニシアチブの一つに掲げています。アマゾン地域の先住民コミュニティは森林保全の最前線にいる当事者であり、その知見と参加をどのように意思決定プロセスに反映させるかが重要な論点です。また、米国のパリ協定離脱やEUの政治的混乱、主要排出国の対応遅れなど、国際的な足並みの乱れも懸念材料となっています。(参照:Belém|Wikipedia)
よくある質問
Q1: COP30の開催期間は?
A1: 2025年11月10日から21日までの12日間です。
Q2: COP30の開催地はどこ?
A2: ブラジル連邦共和国パラ州の州都ベレン(Belém)です。
Q3: 「ネイチャーCOP」とは何?
A3: 森林・生物多様性を重視し、自然保全と気候政策を統合する視点で呼ばれる名称です。
Q4: 一般の参加はできる?
A4: 原則は政府・NGO・報道など登録制ですが、市民向けサイドイベントが開催されることが多く、オンライン参加の機会も提供されます。
Q5: 企業として注目すべき点は?
A5: サプライチェーンの森林影響評価、TNFD等の気候関連開示、森林保全パートナーシップの機会などです。
まとめ
COP30は2025年11月10日から21日まで、ブラジル・ベレンで開催されます。「ネイチャーCOP」として森林保全と気候変動対策を統合的に扱う画期的な会議であり、気候資金の拡大やNDC目標の強化が主要議題です。日本企業には森林影響の開示やネイチャーポジティブなビジネスモデルへの転換が求められ、市民や研究者も含めた多様なステークホルダーの参加が期待されています。
参照リンク
UNFCCC公式サイト
環境省COP30ジャパン・パビリオン
WWFジャパンCOP30情報

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