ナチュラルミネラルウォーター安全性のポイントと選び方ガイド
ナチュラルミネラルウォーター安全性のポイントと選び方ガイド

健康意識の高まりとともに、ナチュラルミネラルウォーターを選ぶ消費者が増加しています。しかし、「天然」や「ナチュラル」という表示だけで安全性を判断していませんか。実際には、採水地や処理方法、検査体制によって品質に大きな差があります。本記事では、厚生労働省の「食品、添加物等の規格基準」に基づく安全性の見極め方から、PFAS等の有害物質リスク、ラベル情報の読み方まで、科学的根拠をもとに解説します。
ナチュラルミネラルウォーター「安全性」とは?
ナチュラルミネラルウォーターの安全性は、法的基準と品質管理体制の両面から判断する必要があります。単に「天然」というイメージだけでなく、具体的な検査項目や基準値を理解することで、本当に安全な商品を選択できるようになります。
安全性の定義:食品衛生法・成分規格の要点
ナチュラルミネラルウォーターの安全性は、厚生労働省告示「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年告示第370号)に定められた成分規格に基づいて確認されます。
食品衛生法では一般細菌、大腸菌群、重金属類の基準値を設定。基準値超過の場合は販売禁止となります。これらの基準をクリアした製品のみが「ナチュラルミネラルウォーター」として市場に流通しているのです。個別の検査項目や試験法については、厚生労働省が指定する試験法が適用されます。
(参照:食品、添加物等の規格基準|厚生労働省)
水道水との比較:基準値&検査項目の違い
水道水とナチュラルミネラルウォーターでは、適用される法律と検査項目が異なります。
水道水の検査項目
水道水は水道法に基づく水質基準(51項目)を満たす必要があり、蛇口での遊離残留塩素0.1mg/L以上の保持が規定されています。これには一般細菌、大腸菌、重金属(カドミウム、鉛、ヒ素など)、揮発性有機化合物、総トリハロメタンなどが含まれます(環境省)。
ミネラルウォーター類の検査項目
一方、食品衛生法の「清涼飲料水等の規格基準」では、重金属類、ハロ酢酸類、揮発性有機化合物などの検査項目が定められています。令和7年6月30日付の内閣府告示により、PFOS+PFOA合算値を50ng/L以下とする成分規格が新設されました(経過措置:2026年3月31日まで)。残留塩素については明確な数値規定はなく、メーカーが風味と安全性を考慮して自主管理しています。
水道法では蛇口での遊離残留塩素を0.1mg/L以上保持することが規定されています。一方、食品衛生法上のミネラルウォーター類の規格には残留塩素の明確な数値規定は含まれておらず、メーカーは風味や安全性を勘案して自主管理しています。
また、ミネラルウォーター類(殺菌・除菌を行うもの)の成分規格では、重金属類やpH値、濁度・色度・味・臭気のほか、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素(合計10mg/L以下)も含まれています。
(参照:告示文書(令和7年内閣府告示第105号)および通知(ミネラルウォーター類におけるPFOS/PFOA)|消費者庁)
押さえるべき有害物質リスク
ナチュラルミネラルウォーターの安全性を判断する上で、注意すべき有害物質とその健康影響を理解することが重要です。近年話題となっているPFASをはじめ、従来から知られる重金属や細菌類まで、科学的根拠に基づいてリスクを評価しましょう。
PFAS(有機フッ素化合物)の特徴と検出事例
PFAS(永遠の化学物質)は撥水・撥油性に優れた化学物質群です。
日本では、環境省の2019年調査で171地点中37地点が暫定目標値を超過しました。これを受け、内閣府告示によりミネラルウォーター類にPFOS+PFOA合算値50ng/L以下の規制が新設されました。
海外では、米国FDAの調査(2023-24)で197検体中10検体から検出されましたが、EPAの飲料水基準は下回っていました。ただし、検査法や対象物質が調査により異なるため、単純比較はできません。
(参照:2019年 PFOS/PFOA 全国存在状況調査|環境省)
(参照:2023–24年の瓶入り飲料水のPFAS検査|FDA)
重金属・硝酸態窒素・一般細菌の健康影響
重金属類(アンチモン、カドミウム、水銀、セレン、銅、鉛、バリウム、ヒ素、マンガン、六価クロムなど)は微量であっても長期摂取により健康被害を引き起こす可能性があります。鉛は神経系への影響、カドミウムは腎臓障害、水銀は中枢神経系への影響、ヒ素は皮膚がんのリスク増加が報告されています。硝酸態窒素は、特に乳幼児において血液中の酸素運搬能力を低下させる「ブルーベビー症候群」を引き起こす危険性があります。一般細菌については、免疫力の低下した高齢者や乳幼児において胃腸炎等の症状を引き起こす可能性があります。これらの物質は自然由来であっても人体に有害であるため、定期的な検査と基準値の遵守が不可欠です。
公的データで安全性をチェックする方法
安全性確認には以下の公的データを活用します。
①厚生労働省の成分規格・試験法
②国立医薬品食品衛生研究所の検査報告
③都道府県・市区町村の検査結果
④メーカー公表の自主検査データ
特に消費者庁の「食品表示基準」サイトで事業者の検査公表状況を確認し、透明性の高い製品を選択しましょう。
(参照:食品別の規格基準について|厚生労働省)
(参照:食品表示法等(法令及び一元化情報)|消費者庁)
ラベルで見抜く!安心ミネラルウォーター選び
商品ラベルには安全性を判断するための重要な情報が記載されています。硬度やpH値、採水地情報、検査実績の表示方法を正しく理解することで、店頭でも信頼できる製品を見分けることが可能になります。
硬度・pHの読み方&健康との関係
硬度は水1リットル中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウム換算で表した数値です。米国地質調査所(USGS)の分類では軟水(0-60mg/L)、中硬水(61-120mg/L)、硬水(121-180mg/L)、超硬水(181mg/L以上)に区分されます。日本人は軟水に慣れ親しんでいるため、硬度300mg/L以上の超硬水を大量摂取すると下痢を起こす場合があります。pH値は酸性・アルカリ性を示す指標で、人体に適した範囲は6.5-8.5とされています。極端に酸性やアルカリ性の水は胃腸に負担をかける可能性があるため、中性に近い数値の製品を選ぶことが安全です。腎臓疾患のある方は、医師と相談の上でミネラル含有量の少ない軟水を選択することが推奨されます。
採水地・採水方法情報の信頼度とは
採水地情報は、水源の環境汚染リスクを評価するための重要な手がかりです。信頼性の高い採水地の特徴として、工業地帯から離れた山間部や地下深層からの採水、周辺に汚染源(工場、畜産施設、廃棄物処理施設)がない立地条件が挙げられます。採水方法については、地下水の場合は深度情報(一般的に50m以上が望ましい)、湧水の場合は水源保護の取り組み状況が記載されているかを確認しましょう。海外製品では、採水国の環境基準や水質管理体制も考慮要因となります。特に発展途上国からの輸入品については、採水地周辺の環境情報や現地での検査体制について、輸入業者に詳細を確認することが賢明です。透明性の高いメーカーは、採水地の写真や環境保全活動についてもウェブサイトで積極的に公開しています。
検査実績の開示状況チェックポイント
安全性を重視するなら、検査結果の開示状況は必須チェック項目です。信頼できるメーカーは、法定検査項目に加えて自主検査項目(PFAS、農薬類、放射性物質等)の結果も公表しています。検査頻度は事業者の品質管理体制によりますが、安全性重視の目安としては、ロットごとの検査や少なくとも月1回程度の定期的な自主検査を実施しているメーカーを評価するなどの方法があります(法定の一律義務はありません)。
第三者検査機関の認定状況も重要で、ISO/IEC 17025認定(試験所の技術能力を証明する国際規格)を受けた検査機関による分析結果は信頼性が高く、第三者検査結果の有無は消費者が透明性を評価する重要な要素です。また、検査証明書の発行日が古すぎないか(1年以内が目安)、検査項目数が十分か(最低でも食品衛生法の全項目をカバー)も確認ポイントです。一部のメーカーでは、消費者からの問い合わせに対してロット別の検査結果を開示するサービスも提供しており、透明性の高い品質管理体制を示しています。
実例比較&購入ステップ
安全性を重視した商品選択には、具体的な比較基準と体系的な購入手順が必要です。主要ブランドの特徴を把握し、先入観に惑わされない客観的な判断基準を身につけることで、本当に安全な製品を選択できるようになります。
主要ブランドの安全性比較(硬度・pH・価格・PFAS)
国内外の主要5ブランドの安全性データを比較することで、適切な商品選択の指針が見えてきます。硬度・pH値・価格帯に加え、近年注目されるPFAS検査対応状況も重要な判断材料となります。
いろはす(日本コカ・コーラ)

全国8箇所採水の軟水(硬度27-71mg/L、pH6.7)。500ml約110~127円で、加熱殺菌により安全性を確保。成分表示の透明性が高く、ラベルレス仕様で環境配慮も進んでいます。
(参照:コカ・コーラ い・ろ・は・す天然水ラベルレス 560ml ×24本|Amazon)
サントリー天然水(サントリーフーズ)

4つの採水地から硬度10-80mg/Lの軟水を供給。500ml約155~170円で、30年以上の販売実績があります。特に北アルプス採水品は硬度10mg/Lと最も軟らかく、赤ちゃんのミルク調乳にも適しています。
(参照:サントリー 天然水 ラベルレス ナチュラルミネラルウォーター 550ml×24本|Amazon)
アサヒ おいしい水 天然水 六甲(アサヒ飲料)

六甲山系採水の軟水(硬度40mg/L、pH7.0)。500ml約145~156円でありながら品質は安定しています。2019年に加熱殺菌方式に変更し、賞味期限24ヶ月の長期保存が可能。
(参照:アサヒ飲料 おいしい水 六甲 600ml×24本|Amazon)
キリン やわらか天然水(キリンビバレッジ)

群馬県採水の超軟水(硬度19-22mg/L、pH7.4-7.7)。500ml換算約138~194円ですが、日本最軟水クラスのまろやかな口当たりが特徴。310ml飲み切りサイズで6種デザインボトルも魅力的です。
(参照:キリンビバレッジ やわらか天然水 310ml 30本 国産 ミネラルウォーター ペットボトル 軟水|Amazon)
HAVARY’S(紙パック天然水)

佐賀県採水の中硬水(硬度190mg/L、pH7.5)。500ml換算約176円ですが、FSC認証紙パック採用でペットボトルよりプラスチック使用量60%削減を実現。
(参照:ハバリーズ 紙パック 水 天然水 330mL×12本|Amazon)
主要メーカーはPFAS自主検査を実施していますが、測定限界値や検査頻度を比較して透明性を評価することが重要です。
※価格は2025年8月調査時の参考価格であり、地域・店舗・時期により変動があります
安全性重視で選ぶ3ステップ
安全性を最優先にしたミネラルウォーター選びは、以下の3ステップで行います。
【ステップ1:基本情報の確認】
製品ラベルで採水地、硬度、pH、製造者情報を確認し、日本の食品衛生法適合マークの有無をチェックします。
【ステップ2:検査情報の精査】
メーカーウェブサイトまたは問い合わせにより、最新の検査結果(実施日から1年以内)、検査項目数(法定項目+自主検査項目)、第三者機関による認証状況を確認します。
【ステップ3:総合評価と選択】
価格と安全性のバランスを考慮し、継続購入可能な価格帯で最も透明性の高い検査体制を持つ製品を選択します。定期的にメーカーの検査結果更新状況をチェックし、品質管理体制に変化がないかモニタリングすることも重要です。
まとめ:今日からできる安心チェックリスト
安全なナチュラルミネラルウォーター選びのチェックポイント
□食品衛生法適合マークの確認
□硬度・pH値が体質に適合(軟水・中性付近)
□採水地の環境情報開示
□検査結果の定期公表(1年以内)
□第三者機関認証の有無
□価格・ブランドバイアスの排除
正しい知識と確認習慣を身につけ、安全な水を選び続けましょう。