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プラスチックから紙への切り替え|メリット・デメリット・課題と成功事例

プラスチックから紙への切り替え|メリット・デメリット・課題と成功事例

プラスチックから紙への切り替え|メリット・デメリット・課題と成功事例

環境問題への関心が高まる中、多くの企業が脱プラスチックを推進し、紙をはじめとする代替素材への転換を進めています。海洋プラスチック問題や気候変動対策の観点から、素材転換は世界的なトレンドとなっています。本記事では、この移行がもたらすメリットと課題を詳しく解説し、実際の成功事例や導入ステップについて包括的にご紹介します。

プラスチックから紙へ切替える理由と市場動向

プラスチックから紙への素材転換は、環境規制の強化や消費者の意識変化により加速しています。世界各国で使い捨てプラスチック製品の規制が進む中、紙素材は再生可能で生分解性という特性から注目を集めています。

脱プラスチックの世界潮流とSDGs・ESGへの影響

2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、海洋汚染の防止や持続可能な消費と生産が重要な目標として掲げられています。EUでは単品目ディレクティブ(EU 2019/904)に基づき、2021年7月3日からストロー、カトラリー、皿など10種の使い捨てプラスチック製品の市場投入が禁止されました。日本でも2022年4月1日にプラスチック資源循環促進法が施行されました。

企業のESG経営においても、プラスチック削減は重要な評価指標となっており、投資家や消費者からの要請が強まっています。このような背景から、多くの企業が紙製品への転換を経営戦略の中核に位置づけ、サプライチェーン全体での変革を推進しています。

(参照:EU restrictions on certain single-use plastics
Information and resources on the new EU rules on single-use plastics|European Commission

紙素材の環境特性とライフサイクル評価

紙素材は木材という再生可能資源から作られ、適切に管理された森林から調達することで持続可能な生産が可能です。森林は成長過程でCO₂を吸収するため、カーボンニュートラルな素材として注目されています。また、使用後に自然界で分解されやすく、海洋汚染のリスクを大幅に低減できます。

しかし、製造過程での環境負荷は無視できません。紙パルプ製造には大量の水資源(50〜100 m³/トン)とエネルギーが必要で、漂白工程では化学物質も使用されます。プラスチック製造と比較して、製造時のエネルギー消費や水使用量が高いという課題があります。また、輸送時の環境負荷や、紙製品の体積増加による物流効率の低下も考慮すべき要素です。

そのため、単純に「紙=環境に優しい」と判断するのではなく、原料調達から製造、使用、廃棄までのライフサイクル全体での環境影響を総合的に評価することが重要です。LCA(ライフサイクルアセスメント)による定量的な評価を行い、用途に応じた最適な素材選択を行うことが、真の環境負荷低減につながります。

紙化のメリット・デメリットをライフサイクルで比較

素材転換を検討する際は、製造から廃棄までのライフサイクル全体で環境影響を評価することが重要です。紙素材には優れた環境特性がある一方で、製造工程での環境負荷という課題も存在します。

メリット:生分解性向上とリサイクル率アップ

紙製品の最大のメリットは、自然環境下での生分解性の高さです。分解速度は環境条件に依存しますが、土壌中では数週間〜数ヶ月、海洋中では数ヶ月〜数年程度で分解するのに対し、プラスチックは数百年かかるとされています。

日本の製紙業界統計では、2023年度の古紙回収率は、印刷・情報用紙で約81.7%、段ボールで約97.8%に達しており、世界トップクラスの水準です。リサイクルされた紙は新たな紙製品の原料となり、資源の有効活用と廃棄物削減に貢献します。さらに、紙製品は焼却処理時のダイオキシン発生リスクが低く、安全な廃棄処理が可能です。

デメリット:水使用増加・木材需要の上昇リスク

前述の通り、紙パルプ製造には大量の水資源が必要です。多くの工場では排水再利用を進めて外部取水量を削減していますが、この点は大きな課題となっています。

また、紙需要の急増は森林伐採の加速につながる可能性があり、違法伐採や生態系破壊のリスクも存在します。製造工程では漂白剤などの化学物質を使用するため、適切な排水処理が不可欠です。紙製品は水に弱く、耐久性や保存性の面でプラスチックに劣るため、用途によっては防水コーティングが必要となり、リサイクル性が低下する場合もあります。

国内外のプラスチック→紙 成功事例

世界各地で脱プラスチックの取り組みが進む中、多くの企業が紙素材への転換を実現し、環境負荷低減と事業成長の両立を達成しています。

食品トレイ・テイクアウト容器の紙化事例

大手コンビニエンスストアチェーンでは、弁当容器やサラダ容器を紙製に切り替える動きが加速しています。セブン-イレブン・ジャパンは2020年6月より弁当容器などを紙製に切り替え、FY2022末時点の公式報告では約848トンの削減を達成しています。

(参照:Introduction of Environmentally Friendly Packaging|セブンイレブン

スターバックス コーヒー ジャパンは2020年1~3月に約1,500店舗でストロー不要リッドとFSC®認証紙ストローを導入し、年間約2億本のプラスチックストロー削減を見込んでいます。なお、2025年1月からは紙ストローを廃止し、植物由来のバイオマスプラスチック製ストローへ切り替える予定です。

(参照:2020年レポート「Planet(地球環境)」|Starbucks

マクドナルドでは紙製のテイクアウト容器を採用し、撥水性を持たせた特殊コーティングにより、従来のプラスチック容器と同等の機能性を確保しています。これらの取り組みは、消費者からの高い評価を得ており、ブランドイメージの向上にも貢献しています。

(参照:プラスチック対策|マクドナルド

紙製ボトル開発の最前線と課題

コカ・コーラは2021年に紙製ボトルの試作品を発表し、ヨーロッパで実証実験を開始しました。この紙製ボトルは、リサイクル可能な紙素材に植物由来のプラスチックライナーを組み合わせた革新的な構造です。

(参照:米コカ・コーラ、紙製ボトルを試験利用へ 夏からハンガリーで炭酸飲料を販売|BBC NEWS ジャパン

カールスバーグも「グリーンファイバーボトル」という100%植物由来の紙製ビールボトルを開発しています。2022年より英国・デンマークなどで実証試験を開始し、2023年も継続的にパートナー小売で評価を行っていますが、広範な商用展開は今後の判断待ちです。

(参照:【デンマーク】カールスバーグ、世界初紙製ビールボトル「グリーンファイバーボトル」の試作品発表。CO2削減|Sustainable Japan

ハバリーズ 紙パック水

日本では、ハバリーズがFSC認証の紙パックナチュラルウォーターを200ml、330ml、1000mlで展開しています。キャップにはボンスクロ認証のサトウキビ由来素材を採用し、容器全体で環境配慮を徹底しています。

LCA(ライフサイクルアセスメント)調査によると、ハバリーズの紙容器はPETボトルやアルミ缶より環境負荷が大幅に低いことが実証されています。330mLサイズではペットボトル比56%、アルミ缶比49%以上のCO₂削減を実現。さらに使用後の減容率は平均78%以上となり、ごみ量の大幅削減にも貢献しています。

(参照:ハバリーズ

ただし、液体の長期保存や炭酸飲料への対応など技術的課題も残されており、コスト面でもプラスチックボトルの2〜3倍となるため、普及には更なる技術革新が必要です。

家庭用包装フィルムレス化の実践例

イオンは2020年から野菜売り場でのプラスチック包装を削減し、紙テープや紙袋での販売を推進しています。この取り組みにより、年間約100トンのプラスチック削減を達成しました。

無印良品では、商品パッケージの90%以上を紙製に転換し、プラスチックフィルムの使用を大幅に削減しています。

花王は詰め替え用製品のパッケージを紙製に変更し、「ラクラクecoパック」として展開しています。

これらの事例では、商品の品質保持と環境配慮のバランスを取りながら、消費者の利便性も考慮した設計がなされています。小売業界全体でフィルムレス化の動きが広がり、量り売りやバラ売りなど、新たな販売形態も登場しています。

導入ステップと認証・LCAで失敗しない進め方

素材転換を成功させるには、体系的なアプローチと適切な認証取得が不可欠です。製品特性に応じた素材選定から、環境認証の取得、ライフサイクルアセスメント(LCA)による環境影響評価まで、段階的な導入プロセスが重要です。

素材選定からコスト試算までの流れ

素材転換の第一歩は、製品の用途や必要な機能性を明確にすることです。耐水性、強度、保存期間などの要求仕様を整理し、それに適した紙素材を選定します。次に、複数のサプライヤーから見積もりを取得し、既存のプラスチック製品とのコスト比較を行います。

初期投資として金型変更や生産ライン改修が必要な場合もあるため、投資回収期間も含めた総合的な試算が重要です。紙製品は体積が増える可能性があるため、物流コストへの影響も検証します。最終的に、環境価値を含めた費用対効果を経営層に提示し、段階的な導入計画を策定することが成功への鍵となります。

FSC認証・バイオマスマーク取得の手順

FSC認証は、森林管理の国際基準に基づく認証制度で、持続可能な森林資源の使用を証明できます。認証取得は、認証機関への申請から始まり、書類審査と現地審査を経て認証が付与されます。審査では、原材料の調達先から製造工程まで、サプライチェーン全体の管理体制が評価されます。取得には通常6〜12ヶ月程度かかるため、製品開発と並行して準備を進めることが効率的です。

バイオマスマークは、植物由来原料を一定以上使用した製品に付与される環境ラベルで、消費者への訴求力が高い認証です。申請には原料の配合比率や製造工程の詳細情報が必要で、第三者機関による審査を受けます。

LIMEXなど次世代紙代替素材の活用可能性

LIMEXは炭酸カルシウム(石灰石)を50%以上、残りをポリオレフィン系熱可塑性樹脂(HDPE等)で構成する新素材です。紙や従来プラスチックの代替として使用でき、樹脂成分も含むためリサイクルシステムへの適合性が高い点が特徴です。印刷適性や加工性に優れ、名刺やメニュー表などで実用化が進んでいます。

また、セルロースナノファイバーを活用した高機能紙や、農業廃棄物を原料とする非木材紙なども開発されています。これらの次世代素材は、従来の紙が持つ課題を克服し、より幅広い用途への展開が期待されています。コストや供給体制の面で課題も残されており、用途に応じて最適な素材を選択することが重要です。

まとめ

プラスチックから紙への素材転換は、環境負荷低減と持続可能な社会実現に向けた重要な取り組みです。紙素材は生分解性やリサイクル性に優れる一方、製造時の水使用や耐久性の課題もあります。大手企業による成功事例から学び、用途に応じた素材選定、適切な認証取得、LCA評価を行うことで、環境と経済の両立を実現できます。次世代素材も活用しながら、段階的な移行を進めることが成功への道筋となるでしょう。