液化天然ガス(LNG)とは?未来を支える主力のクリーンエネルギー
液化天然ガス(LNG)とは?未来を支える主力のクリーンエネルギー

液化天然ガス(LNG)は、クリーンエネルギーとして注目を集めています。本記事では、LNGの概要、メリット、用途、そして未来の展望について詳しく解説します。
液化天然ガス(LNG)とは?
LNGとは日本で期待される主力のエネルギー資源
液化天然ガス(LNG)とはメタンを主成分とする天然ガスを摂氏マイナス162度まで冷却して液体化したものです。これにより、天然ガスの体積は約1/600に縮小し、大量の貯蔵や輸送が可能になります。
LNGは燃焼時にCO2やNOxの排出が少なく、石炭や石油に比べて環境への負荷が小さいです。また、液体状態での輸送が可能なため、パイプラインがなくても船舶で世界中に供給できます。
この特徴から、エネルギー資源に乏しく輸入に頼らざるを得ない国にとって調達しやすいため、世界中で利用されています。
(参照:LNG(液化天然ガス)|SeizoTrend)
(参照: LNGとは|Looopでんき)
液化プロセスとその技術
液化天然ガス(LNG)の製造プロセスは、天然ガスを超低温まで冷却して液体に変換する一連の工程を含みます。
まず、天然ガスから硫化水素や二酸化炭素、水分、重質炭化水素などの不純物を除去する前処理が行われます。次に、液化プロセスに移り、カスケード方式、混合冷媒方式、エキスパンダー方式のいずれかを使用して冷却します。液化プロセスでは、天然ガスを摂氏マイナス162度まで冷却し、体積を約1/600に縮小します。液化された天然ガスは専用のLNGタンクに貯蔵され、その後、LNG船で輸送されます。
(参照:LNGはなぜクリーンなのか |JGC)
(参照:【完全版】天然ガスの製造プロセス一覧 |まちガス Blog)
LGTプラントとは?
LNGプラントとは、ガス田で取り出された天然ガスから不要物や環境汚染物質、水分などを除去し、冷却を行って液化する施設のこと。(引用: LNGプラントとは|建設・設備求人データベース)
LNGプラントでは、環境に悪影響を及ぼす不純物の除去や、液化過程でのエネルギー効率の向上が重要な課題となっています。最新の技術を駆使して、よりクリーンで効率的なLNGの製造が進められています。
LNGの発展と普及の歴史
液化天然ガス(LNG)の市場は1960年代から1970年代にかけて少数の先駆者によって発展しました。1971年には6ヵ国が輸入し、3ヵ国が輸出していましたが、2000年には11ヵ国が輸入し、12ヵ国が輸出するまでになりました。
その後もLNGの輸出国は増加し続け、2020年には21ヵ国が輸出を行うまでに成長しました。特にアジア市場での需要が高まり、日本や韓国、中国が主要な輸入国になっています。
LNGはエネルギー市場の多様化と供給の安定化に寄与し、現在も重要なエネルギー源としての地位を確立しています。
(参照:LNG Market Trends and Their Implications|Analysis – IEA)
(参照:Background| JSTOR)
LNG発電のメリット
液化天然ガス(LNG)は火力発電において重要な役割を果たしています。特に日本では、LNGは主要な発電燃料の一つとして利用されており、日本の大手電力会社JERAの発電構成ではLNGが約52%を占めているほどです。LNGにはどんなメリットがあるのでしょうか。
環境に優しいエネルギー
液化天然ガス(LNG)は、石炭や石油に比べてCO2排出量が少ないため、環境に優しいエネルギー源とされています。具体的には、LNGの燃焼時に排出されるCO2は石炭の約半分、石油の約70%程度です。
さらに、LNGは燃焼効率が高く、最新のガスタービン技術を使用することで、エネルギーの無駄を減らすことができます。これにより、同じ量のエネルギーを得るために必要な燃料の量が減り、結果としてCO2排出量の削減につながります。
LNGの利用は、再生可能エネルギーの補完的な役割を果たし、エネルギー供給の安定化にも繋がります。持続可能なエネルギーシステムの構築が進み、地球温暖化対策として注目を集めています。
(参照:カーボンニュートラルとは?|朝日新聞SDGs ACTION!)
(参照:CO2削減の重要性|環境省)
コスト効率と供給の安定性に優れている
液化天然ガス(LNG)は、経済的なメリットが多くあります。
まず、LNGは比較的安定した価格を持ち、長期的なエネルギーコストの予測がしやすい点です。企業や家庭はエネルギーコストの管理が容易になります。
また、LNGは液体状態での輸送が可能なため、パイプラインがなくても船舶で世界中に供給でき、エネルギー資源に乏しい国でも安定した供給が可能です。エネルギー市場の多様化と供給の安定化が促進されることで、エネルギー安全保障の向上に貢献しています。
(参照:エネルギーの経済効率性と価格安定|JAERO)
(参照:The Benefits of Gas-to-Power|ECONNECT)
多様な活用方法がある
液化天然ガス(LNG)は、その多用途性からさまざまな分野で利用されています。
具体的には、発電や暖房、工業用燃料、輸送用燃料などに活用されており、私たちの生活を支えています。
LNGの4つの用途
LNGはクリーンで効率的なエネルギー源として、今後も多くの分野で重要な役割を果たしていくでしょう。
主力エネルギーであるLNGの活用先を4つご紹介します。
発電: LNGを利用した火力発電の利用
液化天然ガス(LNG)は、火力発電の主要な燃料として広く利用されています。LNG火力発電は、石炭や石油に比べて二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、環境に優しい点が特徴です。日本では、LNG火力発電が電力供給の約35.9%を占めており、再生可能エネルギーの不安定さを補う重要な役割を果たしています。
LNG火力発電のメリットには、高い発電効率と安定した供給が挙げられます。特に、日本のLNG火力発電所は世界最高水準の効率を誇り、技術革新が進んでいます。
一方で、LNG火力発電にはデメリットも存在します。例えば、LNGは輸入に依存しているため、国際情勢の影響を受けやすい点が挙げられます。また、CO2を全く排出しないわけではないため、温暖化対策としては限界があります。総じて、LNG火力発電は環境負荷の低減と安定した電力供給を両立するための重要なエネルギー源として期待されています。
(参照:火力発電の主力燃料LNGとは?|アスエネ株式会社)
(参照:LNG火力発電のメリット・デメリット|新電力比較サイト)
都市ガス: 家庭や商業施設での利用
都市ガスは、家庭や商業施設で幅広く利用されています。家庭用としては、ガスコンロ、給湯器、暖房機器などが代表的な用途です。
特に、ガスから電気とお湯を同時に作る家庭用燃料電池「エネファーム」が注目されています。エネファームはガスを燃焼させるのではなく、ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、発電時に発生する熱でお湯を沸かします。
商業施設では、レストランの業務用厨房やオフィスビル、商業施設の冷暖房システムに都市ガスが利用されています。具体的には、気化熱を利用して冷水を作るナチュラルチラー(ガス吸収式冷温水機)や、ガスエンジンで冷暖房を行うガスヒートポンプ(GHP)などがあります。これらのシステムは、特にピーク電力の削減に寄与する点が評価されています。
(参照:ガスの用途の現状と、今後導入が期待される分野について|新電力ネット)
(参照:商業施設さま向けソリューション|大阪ガス)
産業用燃料: 工業用ボイラーや炉での利用
産業用燃料は、工業用ボイラーや炉で広く利用されています。工業用ボイラーは、密閉された容器内で水を加熱し、蒸気や温水を生成して他のプロセスに供給します。これにより、食品加工、化学工業、製紙業など多くの産業で熱エネルギーが供給されます。
工業炉は、鉄鋼、自動車、電子機器などの製造過程で材料を加熱し、物理的・化学的特性を変化させるために使用されます。例えば、鉄鋼業では、鋼板の焼鈍や亜鉛メッキラインに工業炉が使用されます。
近年、環境負荷を低減するために、従来のLNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)に代わり、水素燃料の利用が進んでいます。水素は燃焼時にCO2を排出せず、クリーンなエネルギー源として注目されています。三菱重工業は、水素焚きバーナー技術の実用化に成功し、既存のボイラー設備を脱炭素化する取り組みを進めています。
(参照:ボイラ・工業炉などの燃料転換の概要 | 日本ガス協会)
(参照:工業炉における脱炭素燃焼技術|経済産業省)
輸送用燃料: トラックや船舶での利用事例
液化天然ガス(LNG)は、輸送用燃料としても注目されています。特にトラックや船舶での利用が進んでいます。
トラックにおいては、LNGを燃料とすることでディーゼルエンジンに比べてCO2排出量を大幅に削減できます。ヨーロッパではLNGトラックが物流業界で広く採用されており、長距離輸送においても高い燃費効率と低排出を実現しています。また、LNGは燃料補給インフラの整備が進んでおり、主要な高速道路沿いにLNGステーションが設置されています。
一方、船舶においてもLNGの利用が拡大しています。LNG燃料を使用することで、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)の排出を大幅に削減できるため、環境規制が厳しい海域でも運航が可能です。例えば、北欧のフェリー会社ではLNGを燃料とする船舶を導入し、環境負荷の低減に成功しています。さらに、LNGは従来の重油に比べて燃焼効率が高く、運航コストの削減にも寄与しています。
(参照:技術政策| 国土交通省)
(参照:代替動力と代替エネルギーを用いた未来志向の船舶を目指して|ビューローベリタス)
LNGの課題と未来の展望
現状と課題
LNGの利用において、メタン漏れは大きな環境問題です。メタンは強力な温室効果ガスであり、漏れを最小限に抑える技術の開発が急務です。
また、LNGの液化と輸送には大量のエネルギーが必要であり、エネルギー効率の向上が求められています。インフラ整備の面では、LNGターミナルやパイプラインの建設が進められていますが、コストや地域の反対などの課題があります。特に、既存のインフラを活用しつつ、新しい技術を導入することが重要です。これにより、コスト削減と環境負荷の低減が期待されます。
さらに、再生可能エネルギーとの組み合わせにより、持続可能なエネルギーシステムの構築が進むでしょう。これらの課題を克服するためには、政府と民間の協力が不可欠です。
(参照:合成メタンに関する 最近の取組と今後の方向性| 経済産業省)
(参照:2050年カーボンニュートラルに向けた資源・燃料政策の検討の方向性|経済産業省)
新しい技術の導入とコスト削減の可能性
液化天然ガス(LNG)の利用における技術革新は、環境負荷の低減とコスト削減の両面で大きな可能性を秘めています。
新しい液化技術の導入により、エネルギー効率が向上し、液化プロセスでのエネルギー消費を削減できます。例えば、最新の冷却技術を用いることで、従来の方法よりも効率的にLNGを生産できるようになりました。
また、メタン漏れを防ぐための監視技術も進化しています。センサー技術やデータ解析を活用することで、漏れの早期発見と対策が可能となり、環境への影響を最小限に抑えることができます。したがって、LNGの利用がより持続可能なものとなります。
さらに、インフラ整備のコスト削減も重要な課題です。モジュール式のLNGターミナルやパイプラインの導入により、建設コストと時間を大幅に削減できます。これにより、新興国や発展途上国でもLNGの利用が進みやすくなります。
(参照:技術革新とは何か?| IdeaScale)
(参照:「持続可能な社会の実現に向けた技術開発総合指針2023(NEDO総合指針)」を策定|NEDO)
持続可能なエネルギー社会への貢献とLNGの役割
液化天然ガス(LNG)は、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて重要な役割を果たしています。LNGは石炭や石油に比べて二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、クリーンなエネルギー源として注目されています。温室効果ガスの削減に貢献するため、地球温暖化対策の一環として期待されています。
LNGは再生可能エネルギーの補完的な役割もあります。風力や太陽光発電は天候に左右されやすく、安定した電力供給が難しい場合がありますが、LNG火力発電はそのギャップを埋めることができます。これにより、エネルギーの安定供給が実現し、経済活動の持続可能性が向上します。
さらに、技術革新によりLNGの利用効率が向上し、コスト削減が進んでいます。新しい液化技術やメタン漏れ防止技術の導入により、環境負荷を最小限に抑えつつ、経済的なエネルギー供給が可能となります。LNGは新興国や発展途上国でも利用が進みやすくなり、グローバルなエネルギー転換を支える重要な要素となります。
(参照:合成メタンの社会実装に向けた課題について|日本ガス協会)
まとめ
LNGはクリーンで効率的なエネルギー源として、今後も重要な役割を果たすことが期待されています。技術革新によりコスト削減と供給の安定性が向上し、再生可能エネルギーとの組み合わせで持続可能なエネルギーシステムの一部となるでしょう。
環境負荷の低減とエネルギー安全保障の観点から、LNGは未来のエネルギー戦略において欠かせない存在です。2050年脱炭素社会に向けてクリーンエネルギーについて知見を深めてみてはいかがでしょうか。
ハバリーズ公式ウェブサイト
https://havarys.com/