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GHGプロトコルとは? 未来への責任を果たす持続可能な社会を実現

GHGプロトコルとは? 未来への責任を果たす持続可能な社会を実現

GHGプロトコル

<目次>
・GHGプロトコルとは?
・測定、報告、検証(MRV)スタンダード
・排出削減のための市場ベースの仕組み
・3つのスコープ
・算定方法

◆GHGプロトコルとは?

GHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)は、温室効果ガス(GHG)の排出を管理し、削減するための国際的な枠組みです。1997年にワールド・リソース・インスティテュート(World Resources Institute)と世界自然保護基金(World Wildlife Fund)によって開発されました。GHGプロトコルは、企業や政府がGHG排出を測定、報告、削減するための標準化された手法を提供し、持続可能な開発目標に向けた取り組みを支援します。

◆測定、報告、検証(MRV)スタンダード

・測定(Measurement)

1)排出源の特定

GHGの排出源を明確に特定します。これには、工場や施設からの直接的な排出や、間接的な排出源(例:電力の消費など)を含みます。

2)排出量の測定方法

GHGの種類や排出源の特性に応じて、適切な測定方法を選択します。これには、直接測定(例:排気ガスのサンプリングと分析)や間接的な測定(例:エネルギー使用量に基づく推定)が含まれます。

3)データの収集と分析

測定を行うために必要なデータを収集し、適切に分析します。これには、排出源からの生産量、使用された燃料の種類と量、エネルギー消費量などが含まれます。

4)排出量の計算

測定されたデータをもとに、GHGの排出量を計算します。これには、適切な排出係数や排出計算式を適用します。

5)不確実性の評価

測定されたデータの信頼性や不確実性を評価し、適切に報告します。これには、測定の精度やデータの信頼性に関する評価が含まれます。

・報告(Reporting)

1)排出量の数量

測定されたGHGの排出量の数量が明確に報告されます。これには、CO2、メタン(CH4)、窒素酸化物(N2O)など、異なるGHGの排出量が含まれます。

2)排出源の分類

排出量は、その源やカテゴリーに基づいて分類されます。これには、スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出)、スコープ3(その他の間接排出)など、排出の種類やカテゴリーが含まれます。

3)計算方法の説明

排出量の計算方法や使用されたデータソースが説明されます。これには、測定方法、排出係数の使用、データの収集方法などが含まれます。

4)不確実性の評価

排出量の計算における不確実性や信頼性が評価され、報告されます。これには、測定の精度やデータの信頼性に関する詳細な情報が含まれます。

5)期間の指定

告された排出量は特定の期間(通常は年次)に関連付けられます。これにより、時間経過による変化やトレンドを把握することが可能です。

・検証(Verification)

1)データの検証:

検証者は、報告されたGHG排出量に関連するデータの正確性を検証します。これには、測定されたデータの精度や信頼性の確認が含まれます。

2)計算方法の検証

報告されたGHG排出量の計算方法や使用された排出係数などの要素が、GHGプロトコルの規定に適合しているかを検証します。

3)不確実性の評価

検証者は、報告された排出量に関連する不確実性を評価し、報告されたデータの信頼性を確認します。これには、測定の精度やデータの信頼性に関する詳細な評価が含まれます。

4)報告書の作成

検証者は、検証結果をまとめた報告書を作成し、報告者に提出します。この報告書には、検証の結果や検証者の見解が含まれます。

◆排出削減のための市場ベースの仕組み

・排出取引(Emissions Trading)

排出取引(Emissions Trading)は、GHGプロトコルにおける排出削減の市場ベースの仕組みの一つです。排出取引では、企業や国が排出権を取引することで、排出量の削減を促進します。まず、政府が企業や国に一定期間内の排出量を割り当てます。これが排出権であり、企業や国はこの枠内で排出を行います。排出権が割り当てられた後、取引市場が設立されます。取引市場では、排出権の売買が自由に行われます。排出量の余剰を持つ企業や国は、排出権を売却し、排出量が不足している者は排出権を購入します。この仕組みにより、排出量の削減が最も効率的な方法で行われることが期待されます。排出取引は、排出削減をコスト効率よく達成し、気候変動に対する取り組みを推進するための重要な手段として国際的に採用されています。

・クリーン開発メカニズム(CDM)

GHGプロトコルの「排出削減のための市場ベースの仕組み」の一つであるクリーン開発メカニズム(CDM)は、開発途上国での排出削減プロジェクトを支援し、その削減量に対して排出権を発行する仕組みです。CDMの運用により、先進国企業や国は、自国内での排出削減が困難な場合に、開発途上国でのプロジェクトへの投資を通じて排出削減を達成することができます。
CDMプロジェクトは、特定の排出源からの排出削減を目指す取り組みであり、例えば、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー技術の導入、森林保護や再生などが含まれます。これらのプロジェクトは、排出削減量を証明し、国際的な審査を経て認証されます。その後、削減された排出量に応じて排出権が発行され、先進国企業や国はこれらの排出権を自国の排出量削減目標の一環として利用することができます。
CDMは、技術移転や持続可能な開発を促進すると同時に、排出削減の柔軟性を高め、排出量削減のコストを抑えることができます。また、開発途上国における経済的発展と排出削減の両方を同時に実現することができます。これにより、世界全体での排出削減の効率化と、気候変動への対処が推進されます。

◆3つのスコープ

スコープ1

GHGプロトコルのスコープ1は、企業や組織が直接的に所有または管理する排出源からの温室効果ガス(GHG)の排出を指します。これには、工場や施設からの燃焼プロセスによるCO2排出、製造プロセスからのメタン(CH4)や窒素酸化物(N2O)の排出、そして化石燃料の採掘や生産によるGHGの排出などが含まれます。スコープ1の排出源は、企業や組織が直接的に制御し、管理することができるものであり、排出量の測定および報告が比較的容易です。スコープ1の排出は、企業や組織の活動に直接関連しています。そのため、排出源の監視と管理が重要であり、排出量の削減戦略を策定する上で基礎となります。スコープ1の排出量は、企業や組織の環境負荷の重要な部分を占めるため、効果的な排出削減措置を実施することが必要です。

スコープ2

GHGプロトコルのスコープ2は、企業や組織が間接的に関与するエネルギー関連の排出を指します。これには、企業や組織が購入した電気や蒸気などのエネルギーの消費によって生じる排出が含まれます。スコープ2の排出源は、企業や組織が直接的に所有または管理するものではなく、外部のエネルギー供給業者によって提供されるエネルギーに関連しています。企業や組織は、購入したエネルギーの消費量とそのエネルギーの排出係数を使用して、スコープ2の排出量を計測し、報告する責任があります。スコープ2の排出量は、企業や組織のエネルギー消費の一部であり、しばしば大きな割合を占めます。エネルギーの使用とそれに伴う排出量の削減は、企業や組織にとって重要な取り組みであり、省エネルギーおよび再生可能エネルギーの導入などの取り組みがスコープ2排出削減戦略の中心となります。

スコープ3

GHGプロトコルのスコープ3は、企業や組織が直接所有または管理する排出源ではない、その他の間接的な排出を指します。これには、サプライチェーン、従業員の通勤、業務旅行、廃棄物処理などが含まれます。スコープ3の排出源は、企業や組織の活動に関連しているものの、直接的な制御や管理が難しい場合があります。そのため、スコープ3の排出量の計測や報告は、しばしば複雑で困難な課題となります。スコープ3の排出量は、企業や組織の全体的な環境負荷の大部分を占めることがあります。サプライチェーンやビジネスモデルの変更など、幅広い戦略がスコープ3排出削減に取り組むために必要とされます。企業や組織は、スコープ3の排出源を評価し、それらに対する取り組みを進めることで、総排出量の削減を目指します。

◆算定方法

・スコープ1の直接排出量の算定方法

1)排出源の特定

企業や組織が所有または管理する直接的な排出源を特定します。これには、工場や施設からの燃焼プロセス、製造プロセス、および化石燃料の採掘や生産による排出などが含まれます。

2)排出量の測定

特定された排出源からのGHG排出量を測定するために、適切な測定方法や技術を適用します。これには、排出源からの排気ガスサンプリングと分析、プロセスデータの収集、エネルギー使用量の監視などが含まれます。

3)排出係数の適用

測定されたデータに排出係数を適用して、排出量を計算します。排出係数は、排出源の種類や活動に応じて異なります。例えば、燃焼プロセスからのCO2排出の場合、燃料の種類と量に基づいて排出係数が適用されます。

4)データの記録と報告

測定された排出量のデータを記録し、定期的に報告します。報告は、GHGプロトコルの要件に従って行われ、企業や組織の排出量を透明かつ一貫した方法で公表します。

・スコープ2の間接的エネルギー関連排出量の算定方法

1)エネルギー消費量の収集:

企業や組織が使用する電気や蒸気などのエネルギー消費量を収集します。これには、各エネルギー源の消費量や使用期間などの情報が含まれます。

2)排出係数の決定

各エネルギー源に対する排出係数を決定します。これは、エネルギー源の種類(例:電気、蒸気)や供給元(例:火力発電、再生可能エネルギー)に基づいて異なります。

3)排出量の計算

各エネルギー源の消費量に対応する排出係数を適用して、それぞれのエネルギー源からの排出量を計算します。一般的に、排出量(CO2など)は、エネルギー消費量に排出係数を乗じることで計算されます。

4)データの記録と報告

計算された各エネルギー源からの排出量のデータを記録し、定期的に報告します。報告は、GHGプロトコルの要件に従って行われ、透明性と一貫性を確保します。

・スコープ3のその他の間接排出量の算定方法

1)排出源の特定

企業や組織が所有または管理する直接的な排出源ではない、その他の間接的な排出源を特定します。これには、サプライチェーンからの資材や製品の調達、従業員の通勤、業務旅行、廃棄物処理などが含まれます。

2)排出量の測定

特定された間接排出源からのGHG排出量を測定するために、適切な測定方法やデータ収集手法を適用します。これには、サプライチェーンのGHG排出量の評価や、従業員の通勤距離や交通手段のデータの収集、業務旅行のエネルギー消費量の測定などが含まれます。

3)排出量の計算

測定されたデータに基づいて、各間接排出源からのGHG排出量を計算します。計算方法は、それぞれの排出源や活動に応じて異なりますが、一般的には、消費量や距離に対する適切な排出係数を適用して計算されます。

4)データの記録と報告

計算された各間接排出源からのGHG排出量のデータを記録し、定期的に報告します。報告は、GHGプロトコルの要件に従って行われ、透明性と一貫性を確保します。