水の紙パックでリサイクルやCO2削減〝見える化〟で『環境新聞』に掲載
水の紙パックでリサイクルやCO2削減〝見える化〟で『環境新聞』に掲載されました
トップランナーに聞く ハバリーズ代表取締役 矢野 玲美 氏 水の紙パックでリサイクルやCO2削減〝見える化〟
「1本の水から世界が変わる」掲げて拡大目指す
日本で初めて本格的に紙パック入りミネラルウォーターを販売するハバリーズ(京都市)は、ペットボトルから紙パックにすることで脱プラスチックにつながることに加え、独自のリサイクルシステムやCO2削減算定サービスを通じて、企業、ホテル、ブランドなどに環境貢献への〝見える化〟を提供している。5月に開催されたG7広島サミットで同社商品が採用されるなど、国内外で注目を集め始めている。社名は矢野玲美社長の母方の実家で、豊富な水源のある大分県の「羽馬礼」に由来し、「1本の水から世界が変わる」を掲げて紙パックウォーターの普及に取り組む。矢野社長に、事業開始の経緯や、紙パックウォーターの現状、今後の展望などについて聞いた。
――紙パックウォーター販売の経緯は。
私の母方の実家は、九州で水源を持つペットボトル入りミネラルウォーターの製造業を営んでいた。家業の事業承継に際して、零細の製造業として薄利で競争激化する中どうするかということに頭を悩ませていた。当時私は商社で海外勤務だったが、赴任先で紙パックのミネラルウォーターを見て、日本はレジ袋を有料化したりさまざまな脱プラに取り組んでいるのに、なぜか飲料製品では水の紙パックだけないことに疑問を覚えた。もともと実家が水を扱っていたので、日本で初めて本格的に紙パックミネラルウォーターを販売することで、サステなブルな仕組みを実現させてはと考え、2020年にハバリーズを立ち上げた。生活に最も身近である〝水〟を通じて、企業や個人の環境への意識を変えるきっかけになれば、との思いからスタートしている。
――紙パックの水がなかった理由は。
一つは技術的な問題で、水は基本的に無味無臭なので、紙パックに入れるとどうしても紙臭さが際立ってしまうということがあった。これについては、当社の製品では内側に特殊なアルミフィルムを貼ることで紙の接触面をなくし、長い賞味期限で美味しく飲めるよう改善している。もう一つは意識の問題で、大手飲料メーカーの大半が再生プラスチックに注力しており、紙への代替ということにはあまり力を入れてこなかった。しかし、再生プラを使っても海洋汚染問題の解決にはつながらないし、脱炭素の観点からもペットボトルやアルミ缶に比べ紙の方がCO2排出量も圧倒的に低い。今脱プラや脱炭素の流れの中で、意義のある取り組みとして手応えを感じているところだ。
――事業の特徴は。
売っているのは水だが、その背景にあるリサイクルやCO2削減など環境配慮へのメッセージが当社の商品で、それを水に乗せて売っているという考えだ。例えば多くの企業が脱炭素や脱プラを掲げながら、会議ではペットボトル飲料を配ったりしている。まだまだ行動変容に移せておらず矛盾を抱えていることが多いので、水という最も身近なアイテムから行動変化を起こしたいと思っている。
――独自のリサイクルシステムを導入したが。
「再生可能素材なら再生させよう」という想いから、リサイクルへの取り組みを始めたが、リサイクルで課題となるのが「回収」だ。できるだけ顧客に負担をかけず、いかに効率よく回収するかが成否のカギとなる。そこで、従来のリサイクルは使ったものを回収してリサイクルするのが基本だが、当社では逆転の発想でまず紙パックを100%リサイクルしたトイレットペーパーを購入してもらう形にして、トイレットペーパーが入っていたボックスに飲み終えたハバリーズの容器を入れ、ボックスに同封されている伝票を貼り付けて郵送するだけで、送料無料でリサイクルに出すことができるシステムとした。紙から紙へ、リサイクルの〝見える化〟の取り組みだ。
――CO2削減量の算定も行っているが。
当社の紙パックは、カーボンフットプリントがペットボトルより46%以上、アルミ缶より59%以上低減されることが証明されている。当社の製品を採用することによるCO2削減量を〝見える化〟するため、ホテルや企業等を対象に紙パックウォーターを通じたCO2削減量の算定とそのレポートのサービス提供を今年7月から開始した。身近な脱プラやリサイクルなどの具体的行動と、CO2排出削減量算定サービスを合わせることで、企業やホテルの気候変動対策におけるCO2の〝見える化〟〝削減”をサポートしていく。
――普及状況は。
さまざまな企業やホテル、ブランドなどで導入が進み始めている。昨年6月にはポルシェジャパン全販売店、今年8月にはアウディ正規販売店での導入が開始。今年4月にはセルリアンタワー東急ホテルで全客室への紙パックウォーターの採用が始まり、併せてリサイクルトイレットペ―パーも使用されるようになった。今後もさまざまな企業やブランドとコラボしていく計画だ。
――今後の展望は。
基本的には紙パックミネラルウォーターの認知向上を進めながら、リサイクルやCO2削減の〝見える化〟をさらに強化していきたい。もっと多くの一般の企業などにも広げて行き、サービスを確固たるものとしていきたいと考えている。
(聞き手・黒岩修)
下記オンラインサイトより記事を読むことができるので、ぜひご覧ください。
https://www.kankyo-news.co.jp/posts/391/preview/7duUgilwWs7EaRpS
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