紙マーク・プラマークの見分け方は?重量比ルール、捨て方、事業者の表示義務まで解説
紙マーク・プラマークの見分け方は?重量比ルール、捨て方、事業者の表示義務まで解説

スーパーやコンビニで手にする商品のパッケージには、「紙」や「プラ」の識別マークが表示されています。これらは「資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)」に基づき、消費者の分別を助けるために事業者に義務付けられた表示です。
紙とプラスチックの複合素材では「重量比の大きい方」のマークを表示するという判定基準があり、正しく理解すれば日々のゴミ出しの迷いが解消されます。本記事では、マークの見分け方から分別マナー、事業者の法的義務までを網羅的に解説します。
紙マーク・プラマークの基本と見分け方|どちらを表示・判断すべき?
紙マークとプラマークは、家庭から排出される容器包装の素材を消費者が一目で判別できるようにするための法定マークです。対象は「商品そのもの」ではなく、中身を出した後に不要となる容器や包装に限られます。
識別表示マークの役割と対象となる「容器包装」の定義
識別表示マークとは、資源有効利用促進法に基づき、プラスチック製・紙製の容器包装に表示が義務付けられたリサイクル識別マークです。ここでいう「容器包装」とは、ボトル・缶・袋のように商品を入れる「容器」と、包装紙やラップのように商品を包む「包装」を指し、商品を消費・取り出した後に不要となるものが対象です。
つまり、プラスチック製のハンガーやバケツなどの「製品そのもの」にはプラマークの表示義務はなく、あくまで商品の入れ物や包み紙だけが制度の対象となります。この仕組みにより、消費者はマークを目印にして正しい分別が行えるようになっています。
なお、プラマークはあくまで素材がプラスチックであることを示す識別表示であり、リサイクルが可能かどうかを示すマークではありません(プラスチック容器包装リサイクル推進協議会)。プラマークが付いていても、実際に資源ごみとして回収されるかどうかは自治体ごとに異なるため、分別区分はお住まいの自治体のルールに従う必要があります。
また、2022年4月施行のプラスチック資源循環促進法により、市区町村がプラスチック使用製品廃棄物の分別基準を策定し、容器包装と一括して資源回収できる制度的枠組みが整備されました。実際の回収方法は自治体ごとに段階的に導入が進められているため、最新の分別ルールを確認することをおすすめします。
(参照:容器包装の識別表示Q&A|経済産業省)
(参照:識別表示のルール|食品表示お役立ちガイド)
どちらのマーク?迷った時の「重量比ルール」と判定基準
重量比ルールとは、プラスチックと紙など異なる素材を貼り合わせた複合素材の容器包装において、最も重量比が大きい素材の識別マークを表示するという原則です。紙とプラスチックの二素材の場合は、重量比が50%を超える方のマークを表示します(例:紙51%・プラ49%の場合は紙マークを表示)。
たとえば、紙とプラスチックのラミネート包装であれば、プラスチックの重量が多ければプラマークを、紙の重量が多ければ紙マークを表示します。ただし、外箱(紙)と内袋(プラスチック)のように異なる素材の容器包装が分離して構成されている場合は、それぞれの素材ごとに別々のマークを表示するのが原則です。
ほぼ同時に廃棄される容器包装については、いずれかの部分にまとめて一括表示することが認められています(一括表示の詳細はセクション3「デザイン・サイズ・配置のガイドライン」を参照)。なお、この判定は容積比ではなく必ず重量比で行います。
(参照:識別表示Q&A A39|紙製容器包装リサイクル推進協議会)
(参照:容器包装リサイクル法の説明|日本プラスチック工業連盟)
【図解】紙マーク・プラマークのデザインと種類

プラマークは正方形をベースにした矢印デザインの中央に「プラ」の文字が、紙マークは楕円をベースにした矢印デザインの中央に「紙」の文字が記されています。PETボトル・アルミ缶・スチール缶のマークとはデザインが異なります。いずれも省令で定められた様式に基づいており、色やフォントは、規定のマークとの同一性が損なわれず、鮮明かつ容易に識別できる範囲内であれば調整が認められています。
同じリサイクル系のマークでも、アルミ不使用の飲料用紙パック(牛乳パックなど)や段ボール製の容器包装は、容器包装リサイクル法上の再商品化義務や識別表示義務の適用範囲が異なるため、法定の紙マークではなく、業界団体による自主的な表示(紙パックマーク・段ボールマーク)が用いられています。PETボトル・アルミ缶・スチール缶にもそれぞれ専用の識別マークがあり、合計で主要な識別マークは6種類以上にわたります。
(参照:3R政策 識別表示|経済産業省)
正しい分別と出し方のマナー|「汚れ」や「複合素材」の判断基準
プラマークや紙マークが付いていても、汚れの状態や素材の組み合わせによって捨て方が変わることがあります。リサイクルの品質を保つために、消費者が押さえておくべき分別の判断基準を整理します。
プラスチック容器の汚れはどこまで落とすべき?
プラマーク付きの容器包装は、中身を使い切った上で軽く水ですすぎ、目で見て汚れが残っていない程度にしてから出すのが基本です。食器用洗剤を使って念入りに洗う必要はなく、食器を洗った残り水を活用する程度で十分とされています。
一方、カレーのルウや油汚れなど水洗いでは落ちにくい汚れが残る場合は、リサイクル工程で品質低下や異臭の原因となるため、多くの自治体では「燃やすごみ(可燃ごみ)」として出すよう案内しています。汚れたものが混入すると、他のきれいな資源まで汚染してリサイクルできなくなるおそれがあります。
汚れた容器包装の取り扱いは自治体ごとに大きく異なります(可燃ごみ扱い、高温焼却施設での処理など)。お住まいの自治体の案内を必ず確認してください。
(参照:プラスチック製容器包装(プラマーク)の正しい出し方|葛飾区)
(参照:容器包装プラスチックごみの出しかたQ&A|青梅市)
【事例別】迷いやすいゴミの分別ガイド
日常で特に迷いやすいのが、複数の素材が組み合わされた容器包装の分別です。たとえばカップ麺は、紙製のカップとプラスチック製のフタ・フィルムで構成されており、分離できる場合はそれぞれのマークに従って紙とプラに分けて出します。
お菓子の袋の中にはアルミ蒸着(裏面が銀色)のフィルムが使われているものがあり、自治体によってはリサイクルしにくいため可燃ごみ扱いとなるケースがあります。レトルトパウチもアルミ箔を含む多層構造のため、プラマークが付いていても可燃ごみに分類する自治体が少なくありません。
いずれの場合も、お住まいの自治体が発行するごみ分別ガイドを確認することが最も確実です。
(参照:資源とするプラスチックQ&A|江戸川区)
(参照:プラスチック容器包装の分別・出し方について|京田辺市)
マークがあっても「燃えるゴミ」になるケース
プラマークや紙マークはあくまで素材の種類を示すものであり、そのまま資源ごみとして出せることを保証するマークではありません。汚れや臭いがひどく水洗いで落とせない場合は、多くの自治体で可燃ごみとして排出するルールになっています。
また、プラマークが付いていてもプラスチック製品そのもの(バケツ、ハンガー、おもちゃなど)は容器包装リサイクル法の対象外であり、資源ごみではなく不燃ごみや粗大ごみとして扱われます。分別ルールは自治体ごとに大きく異なり、たとえばプラマーク付き容器を「資源」として別途回収する自治体もあれば、すべて可燃ごみとして処理する自治体もあるため、転居時には必ず新しい地域のルールを確認しましょう。
(参照:プラマークの分け方・出し方|中央区)
(参照:プラごみとして排出できるもの|貝塚市)
【事業者向け】識別表示の法的義務と運用ルール(資源有効利用促進法)
識別表示は消費者の分別を支援するだけでなく、事業者にとっては法令遵守が求められる義務事項です。ここでは、表示義務の対象者や罰則、デザイン上のルール、そして近年注目される環境配慮型素材への対応を解説します。
識別表示義務の対象となる事業者と罰則規定
資源有効利用促進法に基づく識別表示の義務を負うのは、容器包装の「製造事業者」、容器包装を用いて商品を販売する「利用事業者(ブランドオーナー)」、そして海外から容器包装入り商品を仕入れる「輸入事業者」の三者です。プラスチック製容器包装と紙製容器包装については、容器包装リサイクル法上の再商品化義務の対象と識別表示義務の対象が基本的に一致しています。
識別表示義務に違反した場合、識別表示義務に違反した場合、主務大臣による指導・助言→勧告→公表→命令という段階的な行政措置が講じられ、命令に違反した場合には50万円以下の罰金が科されます。
なお、識別表示義務自体は事業規模を問わずすべての容器包装の利用・製造等事業者に課せられますが、中小企業基本法に規定する小規模企業者その他の政令で定める者であって、政令で定める収入金額の要件に該当する事業者については、義務違反に対する行政措置の適用対象から除外されています(資源有効利用促進法第25条第1項)。実務上は売上高と従業員数の双方の要件で判断されます。
同様に、容器包装リサイクル法に基づく再商品化義務(リサイクル費用の支払い)についても、小規模事業者は適用除外とされています。再商品化義務の違反に対しては別途、容器包装リサイクル法に基づく罰則(100万円以下の罰金等)が定められています。経済産業省のオンライン判定システムで自社が「特定事業者」に該当するかどうかを確認し、それぞれの義務の範囲を把握しておくことが推奨されます。
(参照:識別表示Q&A A10|紙製容器包装リサイクル推進協議会)
(参照:容リ法と識別表示の関係|公益財団法人日本容器包装リサイクル協会)
デザイン・サイズ・配置のガイドライン
マークサイズは、プラマークの場合は一辺の長さが印刷・ラベルで6mm以上、刻印で8mm以上、紙マークの場合は高さ(上下の長さ)が同じく印刷・ラベルで6mm以上、刻印で8mm以上と定められています。マークの色やフォントは、規定のマークとの同一性が損なわれない範囲で調整でき、容器包装全体の模様や色彩と比較して鮮明かつ容易に識別できることが条件です。色付きの容器包装に印刷する際には、マークを反転表示にすることも認められていますが、色褪せせずマークが維持されることの確認が必要です。
外箱・内袋・個包装のように容器包装が多重になっている場合、ほぼ同時に捨てられる構成部分であれば、いずれかの部分にまとめて表示する「一括表示」が可能です。一括表示の際は「ボトル」「フタ」などの役割名を併記し、消費者がどの部分がどの素材かを判別できるようにする必要があります。
なお、容器包装の表面に識別マークを配置する物理的なスペースが確保できない場合には、省令上「素材上、構造上、その他やむを得ない理由により不可能な容器包装」として、直接の表示を省略することが認められています。ただし、省略が認められるのは他に表示可能な容器包装がない場合に限られ、他に表示義務のある容器包装がある場合は一括表示が必要です。
また、小売販売を業とする者が使用する包装紙(包む商品が特定されていないもの)については、1枚あたりの面積が1,300cm²以下であれば表示を省略できます。ただし、特定の商品を包装するために製造された包装紙にはこの省略規定は適用されません。いずれの場合も、他に表示可能な容器包装がある場合は一括表示が必要です。
(参照:識別表示Q&A A5・A6|紙製容器包装リサイクル推進協議会)
環境配慮型素材(バイオマスプラ等)への表示の注意点
近年、植物由来の原料を使った「バイオマスプラスチック」や微生物によって分解される「生分解性プラスチック」を採用する容器包装が増えています。これらの素材であっても、容器包装としてプラスチックが主たる構成材料であれば、資源有効利用促進法に基づくプラマークの表示義務は従来どおり適用されます。
一方、日本バイオプラスチック協会(JBPA)が運営する「バイオマスプラマーク」は、バイオマスプラスチック度(ポジティブリスト登録のバイオマス由来基幹高分子化合物中のバイオマス由来成分の重量割合)が25.0%以上であり、かつJBPA指定の使用禁止物質を含まないこと、特定有害物質が最大許容濃度を超えないことなどの安全性基準を満たす製品に、任意で付与できる認証マークです。事業者がバイオマス素材を訴求する場合、法定のプラマークに加えてバイオマスプラマークを併記するケースが一般的ですが、消費者が混同しないよう表示の配置やサイズを工夫することが求められます。
(参照:バイオマスプラ識別表示制度|一般社団法人日本バイオプラスチック協会)
(参照:エコマーク認定基準における「バイオマスプラスチック」の取扱方針|エコマーク事務局)
よくある質問(FAQ):紙パック・段ボール・通販の梱包材
紙マーク・プラマークに関して、消費者から特に多く寄せられる疑問を取り上げます。似て非なるマークの違いや、通販で届く梱包材の扱いなど、具体的なケースごとに回答します。
牛乳パックと「紙マーク」は何が違う?
牛乳パックに代表されるアルミ不使用の飲料用紙容器には、紙マークではなく「紙パックマーク」が表示されています。紙パックマークは業界団体による自主的な表示であり、資源有効利用促進法で義務付けられた紙マークとは別の制度です。
牛乳パックは内側にポリエチレンのラミネート加工が施されていますが、良質なパルプ繊維を含むため、スーパー等の店頭回収、自治体による資源回収、地域の集団回収といった複数のルートを通じて再生されています。回収方法は地域によって異なるため、お住まいの自治体のルールを確認してください。
同様に、段ボール製の容器包装にも紙マークではなく「段ボールマーク」が用いられており、これも古紙回収の仕組みが確立されているため識別表示義務の対象外となっています。
(参照:識別表示Q&A A1|紙製容器包装リサイクル推進協議会)
Amazon等の配送段ボールや緩衝材のマークは?
通販で届く配送用の段ボール箱には、多くの場合「段ボールマーク」が印刷されています。段ボールは紙マークの対象外であり、自治体の古紙回収や集団回収で「段ボール」として出すのが一般的です。
一方、箱の中に入っているプラスチック製のエアクッションや発泡スチロールの緩衝材には、プラマークが付いている場合があり、その場合はプラスチック製容器包装として分別します。紙製の緩衝材(クラフト紙を丸めたものなど)は紙マークの対象となる場合がありますが、小売販売時に店舗が使用する汎用包装紙については、前述の「デザイン・サイズ・配置のガイドライン」で触れたとおり面積基準による省略規定があります。いずれも素材ごとにマークを確認し、マークが見当たらない場合はお住まいの自治体のルールに従って処分してください。
レジ袋やダイレクトメール(DM)の封筒の扱いは?
プラスチック製のレジ袋は商品を入れるための「容器包装」に該当するため、プラマークの表示対象です。プラマークが付いたレジ袋は、汚れがなければプラスチック製容器包装として資源ごみに出せます。
一方、ダイレクトメール(DM)のビニール封筒は、封筒自体が商品の容器包装ではなく「郵便物の包装」にあたるため、容器包装リサイクル法上の扱いが異なる場合があります。紙製のDM封筒であれば雑がみとして古紙回収に出せる自治体が多いですが、ビニール窓付きの封筒はビニール部分を剥がしてから紙と分ける必要があるケースもあります。マークの有無と素材を確認した上で、自治体の分別ルールに沿って処分することが大切です。
まとめ:正しいマークの理解がリサイクルとコンプライアンスの第一歩
紙マーク・プラマークは、資源有効利用促進法に基づき消費者の分別を支援するための法定表示です。複合素材は重量比の大きい方のマークを表示し、消費者は汚れが落ちないものを可燃ごみへ回すのが基本ルールです。事業者にとっては表示義務の遵守がコンプライアンスの基盤となり、消費者にとってはマークの正しい理解が日々の分別ストレスの解消につながります。

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