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世界のマイクロプラスチック規制について考える

世界のマイクロプラスチック規制

世界のマイクロプラスチック規制について考える

世界のマイクロプラスチック規制

目次

マイクロプラスチック規制の主な内容

マイクロプラスチック規制は、環境中へのマイクロプラスチックの排出を減少させるために設けられた法律や政策のことを指します。
マイクロプラスチックとは、5mm以下の非常に小さなプラスチック粒子であり、海洋や河川、土壌に広がり、環境や生態系、人間の健康に悪影響を及ぼすとされ海洋汚染や生態系への影響が深刻な問題として世界的に注目されています。
この問題に対処するため、各国や国際機関が導入しているのが「マイクロプラスチック規制」です。

マイクロビーズの禁止

マイクロビーズの禁止は、マイクロプラスチック規制の中でも重要な措置の一つです。マイクロビーズは特に洗顔料、歯磨き粉、スクラブなどの化粧品やパーソナルケア製品に含まれる小さなプラスチック粒子です。これらのビーズは、使用後に排水を通じて環境中に放出され、最終的に河川や海洋に到達します。そこで、各国は環境保護の観点から、マイクロビーズの使用を禁止する規制を導入しています。

対象製品の特定

規制の対象となる製品は主に化粧品やパーソナルケア製品(洗顔料、歯磨き粉、スクラブ、シャワージェルなど)です。これらの製品には、皮膚の古い角質を取り除いたり、洗浄効果を高めたりするためにマイクロビーズが使用されていました。

禁止措置の段階的導入

多くの国では、マイクロビーズの禁止措置を段階的に導入しています。まず製造や販売を禁止し、既存の在庫については一定期間内に市場から撤退させる措置が取られることが一般的です。

代替素材の推奨

マイクロビーズの代わりに、環境に優しい天然素材(例えば、砂糖、塩、植物由来のビーズなど)の使用が推奨されています。これにより、製品の機能を損なうことなく環境への影響を低減することが可能です。

罰則規定

規制に違反した場合の罰則も設けられており、違反企業には罰金や製品の回収命令が科されることがあります。これにより、規制の実効性が高められます。

具体的な事例

【アメリカ合衆国】 マイクロビーズ禁止法(Microbead-Free Waters Act)
2015年に成立し、2017年7月から全米で施行されました。この法律により、洗顔料や歯磨き粉などの洗浄製品に含まれるマイクロビーズの製造と販売が禁止されています。

【カナダ】 マイクロビーズ禁止法
2018年に施行され、化粧品やパーソナルケア製品に含まれるマイクロビーズの製造と販売が禁止されています。カナダでは、プラスチック廃棄物の管理とリサイクル強化も進められています。

【欧州連合(EU)】 EU化粧品規則
2018年に化粧品規則が改定され、洗浄目的の化粧品に含まれるマイクロビーズの使用が禁止されました。また、EUはマイクロプラスチック全般に対する規制を強化する方針を持っています。

【イギリス】 マイクロビーズ禁止法
2018年に施行され、洗顔料や歯磨き粉などの製造と販売が禁止されています。イギリスでは、環境保護団体の活動により規制が強化されました。

【オーストラリア】 自主的な禁止措置
オーストラリアでは、政府と業界が協力してマイクロビーズの使用を段階的に廃止する自主的な取り組みが行われています。2018年以降、多くの企業がマイクロビーズを使用しない製品に切り替えています。

使い捨てプラスチック製品の削減

使い捨てプラスチック製品の削減は、マイクロプラスチック汚染を減少させるための重要な取り組みです。使い捨てプラスチック製品は短期間で廃棄され、分解が進む過程でマイクロプラスチックが発生しやすいという問題があります。

規制対象製品の特定

使い捨てプラスチック製品として規制の対象となるのは、プラスチックストロー、カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン)、皿、カップ、食品容器、綿棒、風船スティック、ショッピングバッグなどです。

禁止措置

多くの国や地域では、使い捨てプラスチック製品の製造、販売、流通を禁止しています。この措置により、これらの製品の使用を減少させ、代替製品への移行を促進しています。

リサイクル促進と拡大生産者責任

使い捨てプラスチック製品のリサイクルを促進するためのインフラ整備や、製品のデザインをリサイクルしやすいものに改良する取り組みが進められています。
拡大生産者責任(EPR)制度により、製品のライフサイクル全体にわたってメーカーが責任を負うようにし、リサイクルや廃棄物管理の費用を負担させることが推進されています。

代替素材の使用促進

環境に優しい代替素材(紙、バンブー、ステンレス、ガラス、植物由来のプラスチックなど)の使用を促進するための政策が導入されています。
消費者教育と啓発活動により、使い捨てプラスチック製品の代替品を選択することの重要性が強調されています。

再利用とリフィルの推奨

再利用可能な製品やリフィル可能な容器の使用を推奨する政策が取られています。これにより、使い捨て製品の需要を減少させ、持続可能な消費を促進しています。

具体的な事例

【欧州連合(EU)】 使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)
2019年に採択され、特定の使い捨てプラスチック製品の販売が禁止されました。この指令では、プラスチックストロー、カトラリー、皿、綿棒、風船スティック、発泡スチロール製食品容器などが規制対象となっています。 さらに、プラスチックボトルのリサイクル率を2025年までに77%、2030年までに90%に引き上げる目標が設定されています。

【イギリス】 プラスチックストロー、カトラリー、綿棒の禁止
2020年10月から施行され、これらの使い捨てプラスチック製品の販売が禁止されました。
プラスチック袋の有料化も実施され、消費者の使用を減少させる取り組みが行われています。

【カナダ】 使い捨てプラスチック製品の禁止
2021年にプラスチックストロー、カトラリー、皿、食品容器、ショッピングバッグ、6パックリングの禁止が発表され、2022年から段階的に実施されています。

【アメリカ合衆国】 州レベルの取り組み
カリフォルニア州やニューヨーク州など、一部の州では使い捨てプラスチック製品の禁止や規制が導入されています。
例えば、カリフォルニア州ではプラスチックストローの提供を顧客のリクエストがある場合に限定する法律が施行されています。

【日本】 プラスチック資源循環促進法
2022年に施行されたこの法律では、使い捨てプラスチック製品の削減とリサイクル促進が目指されています。
コンビニやファーストフード店でのプラスチック製ストローやカトラリーの提供を控えるような取り組みが進められています。

プラスチックのリサイクルと廃棄物管理の強化

プラスチックのリサイクルと廃棄物管理の強化は、マイクロプラスチック問題に対する重要な取り組みです。これらの施策は、プラスチックが適切に処理され、環境中に放出されることを防ぐことを目的としています。

リサイクル率の向上

プラスチックのリサイクル率向上は、環境保護と資源の持続可能な利用を目的とする重要な取り組みです。各国はリサイクル率向上の法的目標を設定し、これを達成するための政策を導入しています。リサイクル施設の増設や収集システムの整備、技術革新が進められており、特にAIを活用した高度な分別技術や化学リサイクルが注目されています。拡大生産者責任(EPR)制度により、生産者は製品の全ライフサイクルにわたってリサイクルや廃棄物管理の責任を負い、リサイクルしやすい製品設計を促進しています。消費者教育も重要で、リサイクルの重要性と正しい方法が広められています。さらに、リサイクル活動を促進するための経済的インセンティブやデポジット制度が導入されており、リサイクル可能なプラスチック製品の市場が拡大しています。

拡大生産者責任(EPR)

拡大生産者責任(EPR: Extended Producer Responsibility)は、製品の生産者がそのライフサイクル全体にわたって廃棄物管理とリサイクルの責任を負う制度です。この制度により、生産者は製品の回収、リサイクル、適切な廃棄方法の確保を求められます。リサイクルしやすい設計や材料の選定が促進され、廃棄物発生の抑制が図られます。リサイクル費用は生産者が負担し、製品価格に含めることで消費者が間接的に負担します。リサイクルインフラの整備や運営にも生産者が関与し、報告義務と監査によって進捗状況が確認されます。欧州連合の包装廃棄物指令、ドイツのデュアルシステム、日本のプラスチック資源循環促進法などが具体例として挙げられ、生産者の責任が強化されることで、環境負荷の低減と資源の持続可能な利用が推進されています。

分別収集と処理

プラスチックの分別収集と処理は、リサイクルと廃棄物管理を強化するための重要な取り組みです。まず、消費者が家庭や公共の場でプラスチックを他の廃棄物と分けて収集することが奨励されます。これにより、プラスチック廃棄物の質が向上し、リサイクルプロセスが効率化されます。分別収集は、専用のコンテナや回収ボックスを設置することで実現されます。また、収集されたプラスチックはリサイクル施設に運ばれ、種類ごとにさらに分別されます。最新の技術を活用した自動分別装置や手作業による分別が行われ、リサイクル可能な材料とそうでない材料が適切に処理されます。さらに、収集されたプラスチックは洗浄、粉砕、ペレット化され、新たな製品の原材料として再利用されます。このような分別収集と処理のシステムは、プラスチック廃棄物の再資源化を促進し、環境への影響を減少させるための基盤となります。4o

再生プラスチックの使用促進

再生プラスチックの使用促進は、プラスチック廃棄物の削減と資源の持続可能な利用を目指す重要な取り組みです。この促進策では、リサイクルされたプラスチック材料を使用して新しい製品を製造することが奨励されます。政府や企業は再生プラスチックを利用した製品の市場拡大を目指し、法律や政策でその使用を推進します。例えば、一定割合以上の再生プラスチックを含む製品の義務化や、再生プラスチックを使用する企業への補助金、税制優遇が行われます。さらに、技術の進展により、再生プラスチックの品質が向上し、幅広い製品への適用が可能となっています。これにより、プラスチックのライフサイクルを延ばし、廃棄物削減に貢献するだけでなく、環境への負荷も低減します。再生プラスチックの使用促進は、循環型経済の実現に向けた鍵となる施策です。

廃棄物発電(Waste-to-Energy)

廃棄物発電(Waste-to-Energy, WtE)は、プラスチック廃棄物を燃焼させてエネルギーを回収する方法で、リサイクルや廃棄物管理の一環として重要な役割を果たします。このプロセスでは、廃棄物を高温で燃焼させ、その熱エネルギーを利用して蒸気を発生させ、タービンを回して電力を生成します。また、発生する熱は地域暖房や産業用熱供給に利用されることもあります。
廃棄物発電のメリットには、埋立地に送る廃棄物量を減少させることが含まれ、廃棄物処理の効率が向上します。さらに、発電過程でのエネルギー回収により、化石燃料の使用削減にも寄与します。しかし、廃棄物の燃焼には慎重な管理が必要で、適切な排ガス処理設備が不可欠です。これにより、有害物質の放出を最小限に抑え、環境への影響を低減します。廃棄物発電は、プラスチック廃棄物の処理とエネルギーの持続可能な利用を両立させる方法として、環境保護の一環として進められています。

産業界への規制

マイクロプラスチック規制の一環として、産業界に対する規制は、マイクロプラスチックの発生源を減少させ、環境への影響を抑えるために重要です。これらの規制は、製品設計、製造プロセス、排出管理など、多岐にわたります。

製品設計

マイクロプラスチック規制における製品設計の規制は、マイクロプラスチックの使用と発生を抑制するために多方面で行われています。化粧品や洗剤などに含まれるマイクロビーズの使用は多くの国で禁止されており、これにより製品使用後の環境中へのマイクロプラスチック放出が大幅に削減されます。企業は、生分解性プラスチックや天然素材など、環境に優しい代替材料の使用を奨励されています。衣料品業界では、合成繊維からのマイクロプラスチック放出を抑える新素材や技術の開発が進められています。また、製品の設計段階からリサイクルしやすい設計、再利用可能なパッケージング、分解可能な部品の使用が求められています。さらに、長寿命で再利用可能な製品設計を促進することで、廃棄されるプラスチックの量を減らすことが目指されています。各国の規制当局は、成分表示や使用制限、環境影響評価の実施など、製品設計に関する基準を設定し、企業の遵守を監督しています。欧州連合(EU)やアメリカでは、具体的な法律に基づいて規制が行われ、企業は環境に配慮した製品設計を強化しています。

製造プロセス

マイクロプラスチック規制における製造プロセスの規制は、プラスチックの生産や加工過程でのマイクロプラスチック発生を抑えるための重要な取り組みです。企業は工場の排水処理設備を強化し、排水中の微細なプラスチック粒子を除去する高度なフィルターや浄水技術を導入することが義務付けられています。また、製造時に発生するプラスチック粉塵や廃棄物の管理を徹底し、製造設備の密閉化や排気ガスのフィルタリング、作業エリアの清掃などの対策が求められます。使用するプラスチック原材料の管理も厳格に行い、粒状プラスチックの漏れや流出を防ぐ手順を実施します。さらに、製造プロセスの最適化により、プラスチック切削や成形時の微細粒子の発生を最小限に抑える技術改良が奨励されています。工場内でのマイクロプラスチック発生量を定期的にモニタリングし、その結果を報告することも義務化され、規制当局は企業の遵守状況を監視します。従業員にはマイクロプラスチックの影響や適切な取り扱い方法に関する教育と訓練が実施され、日常業務での発生リスクが減少します。欧州連合(EU)やアメリカの州レベルの規制により、企業は製造プロセス全体でマイクロプラスチックの発生を抑え、環境への影響を最小限に抑える努力を求められています。

排出管理

マイクロプラスチック規制の一環として、産業界への排出管理は、製造過程や製品使用時に発生するマイクロプラスチックの環境中への放出を防ぐための重要な措置です。工場や製造施設では、排水に含まれる微細なプラスチック粒子を除去するために高度なフィルターシステムや浄化技術の導入が義務付けられています。また、製造過程で発生するプラスチック粉塵や微細粒子の大気中への排出を抑えるため、高効率の集塵装置やフィルターシステムを設置し、運用しています。製造プロセスで発生するプラスチック廃棄物は、適切に分別・処理され、リサイクルや再利用が奨励されています。工場や製造施設は、排水や排気中のマイクロプラスチックの含有量を定期的にモニタリングし、そのデータを規制当局に報告する義務があり、これにより規制当局は企業の遵守状況を監視します。さらに、従業員にはマイクロプラスチックの影響や適切な取り扱い方法に関する教育と訓練が行われ、日常業務での発生リスクが減少しています。欧州連合(EU)やアメリカの州レベルでの規制により、企業は製造プロセス全体でのマイクロプラスチックの発生と環境中への排出を最小限に抑える努力を求められています。

規制の背景と重要性

海洋生態系への影響

生物への物理的影響

マイクロプラスチックは海洋生物によって誤食されることが多く、消化管に蓄積されます。これにより、消化障害や栄養摂取不良、成長の遅延、さらには死亡に至るケースが報告されています。例えば、小さな魚やプランクトン、貝類などは特に影響を受けやすいです。

化学的影響

マイクロプラスチックは、製造時に添加される化学物質や、海洋中で吸着する有害物質(重金属、PCBなど)を含んでいます。これらの有害物質は、マイクロプラスチックを摂取した生物の体内に移行し、内分泌系障害、免疫系への影響、繁殖障害などを引き起こします。

生態系全体への影響

マイクロプラスチックは、食物連鎖を通じて上位の捕食者にも影響を及ぼします。例えば、小さな魚がマイクロプラスチックを摂取し、その魚を捕食する大型魚や鳥類、さらには人間も影響を受ける可能性があります。これにより、生態系全体のバランスが崩れ、生物多様性が脅かされる恐れがあります。

海洋環境の劣化

マイクロプラスチックは海洋表面だけでなく、深海にも広がり、海底に沈殿することで堆積物を汚染します。これにより、海洋底生生物の生息環境が悪化し、彼らの生活に重大な影響を与えます。また、沿岸地域の観光や漁業にも悪影響を及ぼします。

人間の健康リスク

食物連鎖による摂取

マイクロプラスチックは海洋生物や陸上生物に取り込まれ、それを人間が食物として消費することで体内に取り込まれます。魚介類や塩、ビール、水など、日常的に摂取される食品や飲料にマイクロプラスチックが含まれていることが報告されています。

消化管への影響

マイクロプラスチックが消化管に入ると、炎症反応や免疫系への影響を引き起こす可能性があります。また、プラスチック粒子自体が消化管内に物理的な障害を引き起こし、消化不良や腸閉塞を引き起こすリスクもあります。

有害化学物質の影響

マイクロプラスチックは製造過程で添加される化学物質(例:ビスフェノールA、フタル酸エステルなど)や、環境中で吸着する有害物質(例:重金属、ポリ塩化ビフェニル(PCB)など)を含むことがあります。これらの化学物質は内分泌系の撹乱、発がん性、神経毒性などの健康リスクを引き起こす可能性があります。

ナノプラスチックのリスク

マイクロプラスチックがさらに細かく分解されたナノプラスチックは、その小ささから細胞膜を通過しやすく、血流や臓器にまで到達するリスクがあります。これにより、細胞レベルでの炎症や毒性、DNA損傷などのリスクが懸念されています。

環境汚染の防止

海洋汚染

マイクロプラスチックは海洋に大量に存在し、海水中に浮遊するだけでなく、海底に沈殿して長期間残ります。これらの微細なプラスチック粒子は、海洋生物が誤って摂取することが多く、生態系のバランスを崩します。また、プラスチックは海洋の物理的および化学的特性に影響を与え、珊瑚礁の健康や水質の低下などを引き起こします。

河川と湖沼の汚染

河川や湖沼でもマイクロプラスチックが広がっており、これが水域の生態系に悪影響を与えます。プラスチック粒子が水中に浮遊し、魚や水生昆虫などが誤って摂取することで、食物連鎖を通じて他の生物にも影響が及びます。河川や湖沼の汚染は、地下水や飲料水の品質にも影響を与える可能性があります。

土壌汚染

マイクロプラスチックは土壌にも存在し、農業や植生に悪影響を及ぼす可能性があります。プラスチック粒子が土壌に含まれると、土壌の物理的および化学的特性が変化し、植物の成長を妨げることがあります。また、農作物に取り込まれたプラスチックは食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼすリスクがあります。

視覚的および景観的な影響

プラスチックの蓄積は景観を損ない、観光地やレクリエーションエリアの魅力を低下させることがあります。海岸や湖畔、河川沿いに散乱するプラスチックは、視覚的な美観を損ない、地域社会や観光業に悪影響を及ぼします。

国際協力の必要性

問題のグローバルな広がり

マイクロプラスチックは一国だけで対処できる問題ではなく、海流や風によって世界中に広がります。プラスチックの流入源は国際的であり、製品の使用や廃棄、海洋輸送など、さまざまな要因が絡み合っています。したがって、国際的な協力がなければ、効果的な管理や削減は難しいです。

一貫性のある規制の確立

マイクロプラスチックに関する規制や基準が国ごとに異なると、国際貿易や輸送、廃棄物管理の中で規制の抜け穴や不均衡が生じる可能性があります。国際的な協力により、共通の基準や規制を設けることで、規制のばらつきをなくし、一貫性のある対策を実施することが可能です。

技術と知識の共有

マイクロプラスチックの管理や削減には高度な技術や専門知識が必要です。国際協力によって、技術や研究成果を共有し、効果的な浄化技術、リサイクル方法、監視手法などを共同で開発・導入することができます。これにより、各国の能力を高め、問題解決に向けた進展を加速させることができます。

資金とリソースの提供

発展途上国や資源の限られた地域では、マイクロプラスチック問題に対処するための資金やリソースが不足している場合があります。国際的な協力により、先進国や国際機関が資金や技術支援を行い、これらの地域での対策能力を向上させることができます。これにより、全球的な問題への包括的な対応が可能となります。

国際的な枠組みの構築

国際協力によって、国際的な枠組みや協定が構築され、より広範囲な取り組みが可能になります。例えば、国連環境計画(UNEP)の「海洋プラスチック問題に関する国際的な枠組み」や、「海洋プラスチックに関する国際的な合意」などの取り組みが進められています。これらの枠組みにより、各国が協調して問題に取り組むための共通の目標や戦略を設定することができます。

各国の取り組み

世界各国でマイクロプラスチック問題に対処するための規制や政策が導入されていますが、規制の範囲や厳格さは国によって異なります。多くの国が化粧品やパーソナルケア製品におけるマイクロビーズの使用を禁止し、プラスチック製品全般の削減に向けた取り組みを強化しています。また、国際的な協力やデータ共有も進められており、マイクロプラスチック問題に対するより広範な対応が期待されています。

欧州連合(EU)

使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)

使い捨てプラスチック製品の販売禁止。

化粧品のマイクロプラスチック禁止

2018年に化粧品やパーソナルケア製品へのマイクロプラスチックの使用を段階的に禁止。

意図的な添加に関する規制

021年に化粧品や洗剤、農業用製品などにおける意図的なマイクロプラスチックの使用制限提案。

アメリカ合衆国

マイクロビーズ禁止法(Microbead-Free Waters Act)

2015年に成立した法案で、化粧品やパーソナルケア製品に含まれるマイクロビーズの使用を禁止。

州単位の規制

カリフォルニア州やニューヨーク州などが独自にマイクロプラスチック規制を導入。プラスチック袋や使い捨てプラスチック製品に対する規制が強化されています。

カナダ

マイクロビーズ禁止法

2018年に化粧品やパーソナルケア製品のマイクロビーズの使用を禁止。

プラスチック廃棄物削減戦略

2021年に発表された「プラスチック廃棄物削減戦略」では、使い捨てプラスチック製品の削減やリサイクルの強化が目指されています。

オーストラリア

マイクロビーズ禁止

2018年に化粧品やパーソナルケア製品に含まれるマイクロビーズの使用を禁止。

プラスチック廃棄物対策

使い捨てプラスチック製品の削減に向けた各州の取り組みや政策があります。

ニュージーランド

マイクロビーズ規制

2018年に化粧品やパーソナルケア製品へのマイクロビーズの使用を禁止。

プラスチック廃棄物管理

プラスチック廃棄物の削減とリサイクルの強化に向けた政策があります。

日本

マイクロビーズ規制

日本では化粧品におけるマイクロビーズの使用は規制されていますが、マイクロプラスチック全般に対する規制はまだ発展途上です。

プラスチック資源循環促進法

2022年に施行された法律で、プラスチックごみの削減とリサイクルの強化が求められています。

中国

プラスチック規制強化

2021年にプラスチック使用の削減に関する規制が強化され、特に使い捨てプラスチック製品に対する規制が導入されています。

マイクロビーズ禁止

化粧品に含まれるマイクロビーズの使用制限が進められています。

インド

プラスチック廃棄物管理

使い捨てプラスチック製品の規制を強化する取り組みが進められています。

マイクロプラスチック対策

インド政府はプラスチック廃棄物削減とリサイクルの強化を目指す政策を推進しています。

韓国

プラスチック廃棄物削減政策

使い捨てプラスチック製品の使用を減少させるための政策が実施されています。

マイクロビーズ規制

化粧品へのマイクロビーズの使用が制限されています。

まとめ

世界のマイクロプラスチック規制は、環境保護と公衆衛生の観点から重要です。主な取り組みとして、海洋や生態系に悪影響を及ぼす使い捨てプラスチックの禁止、化粧品や洗剤に含まれるマイクロビーズの禁止、プラスチックのリサイクル率向上と再生プラスチック使用の促進、廃棄物管理の強化、拡大生産者責任(EPR)の導入、製品設計の改善などがあります。国際的には、国連環境計画(UNEP)や国際海事機関(IMO)が中心となり、グローバルな協力と規制枠組みが進められています。これにより、国際的な知識共有と技術開発が進み、プラスチック汚染の削減に向けた実効性のある対策が実施されています。